生命のいない地球
最初の生命誕生
シアノバクテリア誕生
多細胞生物誕生
コケ類の誕生
サンゴの誕生
魚の誕生
植物の上陸
動物の上陸
魚の上陸
哺乳類の誕生
鳥類の誕生
人類の誕生
人類の歩み
魚など生き物を飼育している私たちにとって、生き物とは何なのか、どのようにしてその生き物が生まれたのかを知っていることは、飼育していく上で役に立つと思います。
生命というものの仕組みを、考え方のバックボーンとして持っていると、飼育方法の疑問にぶつかったとき、そのことが潜在的に働きヒントが見つかりやすくなります。
そんな知識は特に必要としないと考える人もいるでしょう。
海水魚の飼育は、経験を重ねていくことが大切であると考える人もいるかと思います。
人それぞれの考えがあるので誰でもそう思うということは言えません。
でも生物とは本来こういうものということを知った上で、これから海水魚の飼育をしていきたいと考える人のために、生物の成り立ちの歴史を見ていきたいと思います。
生物は地球に最初からいたわけではないことは誰でも知っていることです。
でもよく考えてみると、そう学校で教わったから知っているのではないでしょうか。
昔の時代に生きていた人たちは、そうは思っていなかったのではないでしょうか。
花や木も、魚や動物も、鳥や人間も、昔からずっといた、最初からこの世に居たのだと思っていたのではないでしょうか。
昔の人は地球は平らだと思っていました。
私も学校で地球は丸いのだと教わらなければ丸いとは気が付かなかったと思います。
でもガリレオ・ガリレイが言ったとおり地球は丸いのが正解でした。
当時の学者や偉い人たちは丸いとは思ってなく、当時の正解は平らでした。
生き物も同じです。
昔の人は天地創造の神がこの世にいっせいに作りだしたものだと思っていました。
でもダーウィンがそうではないことを発見し、今ではダーウィンの言うことの方が正解だとされています。
ダーウィン以降たくさんの学者が調べていって、だいたいこうだったのではないかと思われることが解ってきています。
生命のいない地球
宇宙にはたくさんの星があります。
私たちがいる地球は、太陽という恒星の周りをまわっている惑星です。
この地球や太陽はどうやってできたのでしょうか。
実は星の残骸からできていったのです。
地球や太陽ができる前に、太陽よりはるかに大きい恒星があったのです。
この恒星は太陽と同じように核融合反応を続けて光を出していましたが、ある時寿命がきて大爆発を起こして砕け散ってしまいました。
この大爆発のことを超新星爆発といいます。
昔の人は遠くにあるため地球からは見えなかった星が、大爆発を起こして強い光になったため見えるようになって、急に星が生まれたように感じたので新星と呼びました。
でも実際は星がなくなったのです。
地球や太陽は大きな恒星が大爆発して散り散りになり、宇宙に吹っ飛んでいった破片が集まってできていきました。
最初はガス状であったものが、次第に渦を巻き始め、まとまっていったのです。
太陽ができると、太陽の周りを小さな破片が回るようになりくっつきあい大きくなっていきました。
渦を巻きながらガスは長い年月で冷えて固まっていきました。
地球は今から46億年前頃、丸い形になってきましたので、この頃に地球が誕生したとされています。
太陽の周りをまわっている破片同士がくっついて、だんだん大きくなり小惑星となり、それがまた地球の引力に引き寄せられてぶつかってきました。
小惑星が隕石となって次々ぶつかってきて地球は大きくなっていきました。
地球は火星くらいの大きさになってからも、10回くらい大きな隕石がぶつかってきて現在の大きさくらいになりました。
太陽もまだ小さく核融合反応も今ほど進んでなかったので、明るさは今の1/3くらいでした。
45億年前頃、大きな隕石が地球をかすったとき地球は欠けてしまい、欠けた破片は飛んでいって地球の周りを回るようになりました。
それがまとまって月になりました。
この時の月は現在よりずっと地球に近い位置で回っていました。
このころの地球はガスが冷えて形にはなってきましたが、まだ煮えたぎるマグマの塊でした。
もちろん生物などが生きられる環境ではまったくありません。
それでも数億年経つうちには、表面は少しずつ冷えていき、マグマの表面が岩石として固まっていきました。
固まっていくとき、マグマからは水蒸気や二酸化炭素、窒素、メタンなどが放出されていきました。
その結果、地球の周りに大気がだんだん作られていったのです。
大気の成分は、多いものから順に水素、二酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、塩化水素、フッ化水素、窒素、アルゴン、メタン、一酸化炭素でした。
さらに地球が冷えてくると、大気中の水蒸気は雨となって地上に降り注ぐようになりました。
毎日雨が降り続き、何億年も降り続けているうちに地上には海ができてきました。
海ができると地表はほとんどなくなり、海だらけの地球になりました。
この頃の雨は、硫化水素・塩化水素などを含んだ強い酸性雨です。
そのため海は酸性の海で、二酸化炭素、亜硫酸ガス、塩化ガスが大量に含まれたもので塩分はあまり含まれていませんでした。
含まれている成分は、シアン化合物、ホルムアルデヒド、アンモニア、硫化水素、窒素化合物、炭素化合物などでした。
現在のように透きとおった海ではなく、いろいろの物が混ざり合ってどろどろしたような海でした。
大気中の水蒸気が雨となって地面に落ちてしまうと、大気は二酸化炭素が主になりました。
すると地表温度は二酸化炭素の温室効果により60度以上になってしまいました。
温室効果というのは、太陽から送られてきた熱が大気中にこもってしまう現象です。
太陽からは光の形で地球にエネルギーが送られてきています。
この光は地球の表面にあたって反射され、また宇宙へ送られていきます。
月や火星が光って見えるのは、この太陽からの反射光が地球に送られてきているからです。
地球に送られてきた太陽光は、地球の表面温度が低いため一部が赤外線に変えられて反射していきます。
大気中に二酸化炭素、メタン、窒素化合物、フロンなどがあると赤外線は吸収されてしまい、宇宙へ出ていかず大気中にこもった状態になってしまいます。
赤外線は熱源ですから、これが大気中にあると気温が上がることになるのです。
地球は、これらの気体が空気中にたくさんある時期は温暖になり、少なくなると寒冷になり氷河期を迎えてしまうのです。
海水中の酸性成分は、時間とともに岩石に含まれるアルカリ成分によって次々中和されていきました。
すると、大気中にたくさんあった二酸化炭素も海水が吸収しだしたので、大気中の二酸化炭素の量は減っていきました。
海水に溶けていった二酸化炭素は化学反応で石灰岩がつくられていき、出来た石灰岩は次々海底に沈んでいきました。
今まで厚い雲に覆われていた大気でしたが、温室効果が少なくなって気温は下がっていき、海には太陽の光が良く入り込むようになっていきました。
最初の生命誕生
雨が降ったことと海ができたことで地球は冷やされ、さらに二酸化炭素が減ったことで温室効果が減り、ますます気温は下がっていきました。
この頃にも月の引力により満ち潮とか引き潮がありましたが、月が近くにあったため現在よりもっと潮位は大きく変化していました。
実験室で液体を混ぜるときフラスコを揺するように、海の水は月の引力によって揺さぶられていました。
海は混ぜあわされている状態を何億年も繰り返し続けていきました。
そのうち38億年前頃になったとき、原始の海の底でシアン化水素、青酸カリなどの分子が結びついて大きな分子が作られるようになってきました。
それは、海の底のマグマを噴き出している噴火口付近で、噴出されてくるメタンやアンモニア、硫化水素を使って、有機物のアミノ酸ができていったのです。
そして青酸カリから核酸が作られるようになり、これが長くつながって遺伝子になっていきました。
生命体の誕生です。
地球には酸素がないので、この頃の生命体はメタンやアンモニア・硫化水素で生きていました。
この時の生命体にとって光は、遺伝子を破壊する有害なものでしたので、この生命体は光の届かない深海の底で生活していました。
地球の表面は、太陽から紫外線や有害荷電粒子が送られてきているので、生命体のDNAは破壊されてしまい、生きていける環境ではありませんでした。
地表は岩石が覆っていましたが、そのすぐ下はマントルです。
マントルは、地球の内部で長い年月をかけて流れる状態で動いています。
35億年前頃になると、太陽の活動は活発になってきて、紫外線が多く送られてくるようになり、水蒸気が紫外線に分解されて少しずつ酸素が作られるようになりました。
27億年前ぐらいになったとき、マントルの流れが激しくなり、プルームというマントルの塊が上下活動を頻繁にするようになりました。
マントルというのは、地球の外側の地殻(プレート)の下にある部分で、地球の体積の83%というかなりの部分を占めるところです。
地球は中心にコア(核)という、鉄とニッケルが混ざったところがあります。
コアは内核と外核に分かれていて、内核は個体、外核は液体状態で温度が太陽の表面温度と同じ6000kもあるそうです。
その上にマントルがくるまっていて、マントルも上部マントルと下部マントルに分かれています。
マントルは岩石が溶けている状態のもので、上部はかんらん石という岩石で、下部の方は輝石という岩石らしいのですが、現在でもまだよく解っていないようです。
溶けた状態といっても私たちが思っている液体の状態とは違い、見た目個体に見える状態です。
普通、個体は液体が結晶になった状態をいいますが、マントルは液体が硬くなっている状態です。
これはガラスや飴などと同じ状態で、結晶ができているわけではありません。
液体が冷えて、粘度が高くなって硬くなっている状態です。
硬くはなっていますがマントルは液体ですので、長い間には流れていくということをしています。
マントルは部分的にプルームというものができて上に動いたり、下に動いたりしています。
プルームが上に動くということは、核付近の熱いマントルが上にいくことになり、地上に出たときには火山が噴火することになります。
全体としては対流を起こしていて、上部マントルと下部マントルで逆方向に対流を起こしていました。
そしてある時からマントルの対流が上下とも同じ方向に流れるようになりました。
そうすると地球の核を構成している鉄が急に磁石の働きをするようになり、地球全体に磁気のバリアが張り巡らされていったのです。
そのおかげで、今まで地球に送られてきていた有害荷電粒子が、磁気圏のバリアで防げるようになり地上には届かなくなったのです。
有害荷電粒子の心配がなくなったため、深海深くでしか生きられなかった生物が、海面近くでも生きられるようになりました。
マントルが一方向の対流になると、地殻はプレート移動するようになり、海がほとんどだった地球に大陸ができてきました。
地殻は薄い板状(プレート状)で何枚かに分かれていて、マントルの上に乗っかった状態で、マントルの動きに従って移動していきます。
地殻(プレート)は卵に例えると、固くて薄い殻に当たる部分で、マントルは白味、核(コア)が黄味に当たります。
地球の場合は、この殻が何か所かに割れた形で、白味のマントルの上に張り付いているようなものです。
さらに地球の場合は、殻の上に海洋という水の膜がかぶさっている状態です。
マントルは海の底で山脈のようにつながった吹き出し口から、地殻(プレート)を押しのける形で噴き出ています。
この吹き出し口を海嶺といいます。
海嶺からプレートを左右に押しのけて、マントルがあとからあとから押し出されてくると、プレートは左右にずらされていくことになります。
丸い地球の一部で押し広げようとする力が働くと、その反対側では押しつぶされるところが出てきます。
押しつぶされてプレートが盛り上がって陸地ができていきました。
マントルが噴き出すところが何か所もでき、押しつぶされて盛り上がって陸地になるところが何か所もできていきました。
陸地になったところは、海の石灰岩など堆積物が多いところで、プレート(地殻)より軽いため、プレートの上に陸地が乗っかった状態で陸地は作られていきました。
そしてウル大陸という大陸ができました。
この頃の陸地面積は、現在の大陸合計の50%くらいの大きさでした。
陸地ができると、陸地からはカルシウム、ナトリウムなどのミネラルが海に流れ込むようになりました。
大陸ができるところをもう少し細かく見ていくと次のような流れになります。
1.海の底に海嶺ができます。
地球の中心の、核に触れているマントルは高温のため溶けていき、溶けたものが軽くなって地表へ向かって上がっていきます。点々と単発的に上がっていったところは火山となり、表面が冷やされ、やがて島になっていきます。 これをホットスポットといいます。ホットスポットによってつくられた島は列島になっていきますが、 現在作られているものではハワイ諸島などがこれにあたります。 熱せられたマグマは、プルーム(ホットプルーム)となって海底に吹き出していきますが、この吹き出し口を海嶺といいます。 海嶺から噴出されたマントルは冷やされてプレートになり、プレートを左右に押し広げるように働きます。
2.海底が押し上げられ大陸が作られます。
海嶺と海嶺に挟まれた真ん中のところでは、両方からプレートが押し寄せてくるため、プレートの塊ができます。 プレートの塊のところからマントルは冷やされていきます。 マントルは冷やされると重くなりプレートの塊とともに下に落ちていきます。 この冷やされたマントルをコールドプルームといいます。 コールドプルームができた部分は下に落ちていきますので、そこを埋めようとプレートや列島などが引き寄せられていきます。 するとそこに盛りあがったところができ、長い年月を経過するうちに大陸に成長します。 こうしてホットプルームとホットプルームの間には、コールドプルームができ、その上にはやがて大陸が出来上がっていきます。
3.大陸の分裂
大陸ができると大陸の下は、お鍋に蓋をするように、地球内部の熱がこもるようになり、温度が上がっていきます。 すると熱によってマントルが溶けだし、核に触れている高温のマントルが上昇しだし、ホットプルームが出来上がります。
大陸の下にできたホットプルームは大陸の上に吹き出し、大噴火を起こして大陸を分裂させます。 ホットプルームは大陸を左右に押し開き、その後、新たな海嶺となってプレートを作りだしていきます。
このようにして、海嶺は大陸を移動させて、別の大陸と結合させては、それを分裂させるようにと働いています。 このようにホットプルームができて、その後、コールドプレートが作られることにより、大陸ができたり消えたりすることは、1億年という周期で何度も繰り返されてきています。
現在も、もちろん続いていますので、やがてユーラシア大陸の下のホットプルームは発達して、大陸を爆発させて分裂させてしまいます。
シアノバクテリア誕生
32億年前頃になったとき、海面近くで生活している生命体の中から、太陽の光を利用してエネルギーをつくることのできる新しいタイプの生命体が出現してきました。
この生物は酸素という毒ガスから身を守るために、抗酸化酵素(SOD)というものを作りだしたのです。
こうして、今までいなかった酸素で呼吸することのできる新しい生物が生まれました。
この生物は地球上に無尽蔵にある二酸化炭素を使って光合成をし、酸素でエネルギーをつくることができました。
体長は1/100mmくらいしかない小さな生物ですが、酸素でエネルギーをつくる方が硫化水素を使ってエネルギーをつくるより、はるかに効率がよかったためどんどん増殖していきました。
この生物は光の届く海上近くで増えていったのですが、この生物がアクアリストから嫌われているシアノバクテリア(藍藻)という細菌の祖先です。
シアノバクテリアはストロマトライトと呼ばれている塊を作って増えていったものもありました。
シアノバクテリアが増えていくと光合成が活発に行われることになり、その結果生じる酸素は海水中にどんどん増えていきました。
27億年前頃には、シアノバクテリアが大量に増えていったので、作り出される海水に含まれる金属イオンの酸化がどんどん進んでいきました。
酸素は海中にある鉄を次々酸化させて酸化鉄に変化させ、海底に沈めていきました。
20億年前くらいになると、海中の鉄は全部酸化されてしまい、そのほかの海水中の物質も酸化物にされて海の底に沈められてしまいました。
海水に含まれていたものが海の底に沈んでしまったので、海水は現在の海のように透きとおった水になっていきました。
海水中のものをみんな酸化させて沈めてしまうと酸素は海水に溶け込んでいくようになり、海水の酸素濃度は高くなっていきました。
以前の海は硫化水素に満ちていた海だったのですが、シアノバクテリアの出す酸素によって酸素の多い海へ変わっていったのです。
酸素はそれまでいた生物にとっては、細胞膜や遺伝子を破壊する有毒物質であったので、それまでの生物は次々と死んでいきました。
死んだ生物の死骸は海底に次々と積もっていったのです。
こうして地球上の生物のほとんどがシアノバクテリアになっていきました。
多細胞生物誕生
19億年前頃になると海の酸素は飽和状態になり、酸素は空中へ放散されていくようになりました。
陸地の方は、25億年前頃にアークティカ大陸がつくられ、ウル大陸はほかの大陸とくっつき第2ウル大陸になりました。
さらにまた大陸とくっついて大きくなり第3ウル大陸になりました。
その後アトランティカ大陸ができ、大陸同士くっつきヌーナ大陸というさらに大きな大陸になっていきました。
地球はプレートの移動によって、18億年前頃に第3ウル大陸、ヌーナ大陸、アトランティカ大陸の3大陸となりました。
すると地球の環境に大きな変動が起こりはじめ、地球はだんだん冷えていきました。
そのことにより、海の栄養分は極度に不足していき、単細胞生物は次々死んでいってしまいました。
単細胞生物は栄養分が充分あるときは、効率よく分裂して増えていけましたが、栄養分がないと簡単に死んでいきます。
単細胞生物とは細胞の中に1組の遺伝子(DNA)しかないものです。
分裂するときは、まずDNAがコピーされて同じDNAが二つになり、そして分裂していました。
そっくり同じものに増えていくのです。
数を増やすためには最も効率の良い方法だったのです。
栄養分が得られにくい環境になって次々仲間が死んでいくうち、その環境を生き延びるために細胞同士がくっついて、一つになって生き延びようとするものがでてきました。
二つの細胞がくっついたため、二つの遺伝子(DNA)を持つ単細胞生物が生まれたのです。
二つのDNAを持った細胞が分裂をすると、分裂前とは違ったものができてきたのです。
それまでの細胞は親というものはなく、同じDNAがコピーされて一つのものが二つに増えていくので数が増えるだけです。
二つのDNAを組み合わせて、新いDNAが作られると親と子という関係ができてきたのです。
それまでの生物は一つの細胞で、生命活動の何から何までやらなくてはならなかった単細胞生物です。
多細胞生物になると何をする細胞、何々をする細胞と担当が分かれ分業して、全体として一つの生物として働くことが可能になったのです。
こうなると専門家の集まりとなれるので能力は高まり、体は大きくなりますが、この頃のものはまだ頭も足もない形らしい形を持っていないものでした。
ところが今まで酸素によって死ぬ一方だったバクテリアの中から、死んだバクテリアを食料にする新しいタイプの生物が登場してきました。
それまでの生き物は硫化水素で生きている嫌気性のバクテリアか、光合成する生き物なので、無機質の元素を取り入れるか浮遊している有機物を食べて生きていました。
新しい生き物は、生き物の死骸という有機質を取り入れて生きていく生き物です。
腐食の食物連鎖の始まりです。
食物連鎖はまず腐食連鎖から始まりました。
この生物は酸素で呼吸することができるようになり、その後生きたバクテリアを食べるものが生まれていきます。
この生物が登場したことにより食物連鎖は進展していきました。
酸素を使うと硫化水素を使うより20倍多くのエネルギーが作れるので、この生物は動き回る能力が高く、次々バクテリアを食べ始めました。
今までのバクテリアは細胞膜を食いちぎられ、遺伝子を食い荒らされてしまいます。
そのうち食われてばかりだったバクテリアの中でお互いに身を寄せ合ってまとまり、遺伝子を真ん中に集め、これを膜で囲って守っていくものが出てきました。
それまでのバクテリアは一つの細胞でできていて遺伝子(DNA)は一つです。
酸素を使って動き回る運動能力に長けたバクテリアに対し、このバクテリアは遺伝子を集めた細胞核というデータバンクを持つことによって学習能力と知恵の分業で対抗していったのです。
細胞核があると遺伝子情報をたくさん持つことができるようになります。
細胞もそれまでの単細胞バクテリアより大きくなります。
体も大きくなって強くなっていきました。
そのおかげで、今までの生物と比べ物にならないくらい進化することが可能になったのです。
でも酸素に弱いままでは勝ち続けていくことはできません。
このバクテリアはその内うまい手を考えたのです。
まず酸素から身を守るために核膜というバリアをつくって遺伝子を守り、細胞膜の中に酸素を吸って大きなエネルギーをつくれるバクテリアを取り込みました。
酸素呼吸するバクテリアを自分の細胞に取り込んで、このバクテリアの廃棄物を使うという手です。
酸素呼吸するバクテリアは酸素を取り入れてATP(アデノシン3燐酸)という物質をはきだします。
このATPというのは生物のエネルギーの元になっている物質です。
嫌気性のこのバクテリアは自分では大きな力が作れないのに、いくつかまとまって大きな細胞となり、その中に酸素呼吸して大きなエネルギーを作れるバクテリアを飼育して、そのバクテリアの作ったものを使って大きな力を得たのです。
細胞の中に取り込まれてしまった方のバクテリアはミトコンドリアというバクテリアです。
この新しく生まれたバクテリアは、それまでのバクテリアと違って細胞核をもったものなので、真核生物として別のものとして分類されます。
細胞の中にミトコンドリアと鞭毛性のバクテリアの二つを取り入れることに成功した生物はやがて動物へと進化していきます。
鞭毛性バクテリアはムチのように体をくねらせることによって、水をかいて体を移動させることのできるバクテリアです。
こうして栄養源を求めて海水中を浮遊して動き回る生物が登場しました。
この生物は動き回ることができるため、エサを求めて移動し、強が弱を襲い、大が小を食べるという食物連鎖がつくられていきました。
細胞は細胞壁でガードされていたのですが、この生物は硬い細胞壁を取り払いました。
そのため柔らかい細胞膜が表面になったため、動きやすくなり変化しやすくなりました。
これがやがて多細胞化して、生殖という繁殖方法をつくっていくことになります。
酸素の脅威が無くなったので海の中のバクテリアの数は増えていったのですが、大きさは1mm以下の小さなものばかりです。
今までのバクテリアは単細胞のバクテリアばかりでしたので、大きくなるためには限界がありましたが、多細胞になることで飛躍的に大きくなることができるようになりました。
細胞の中にミトコンドリアと葉緑体(クロロフィル)を取り入れることに成功した生物は、やがて植物へと進化していきます。
この生物の細胞は硬い細胞壁をもったままなので、動き回ることはできず、以後動物に食べられる一方になっていきます。
でも日光さえあれば、ごくわずかな無機質の栄養分だけで成長も繁殖もできるので、環境変化に強く新しい環境にも進出しやすいのでした。
海上を漂う生活をしていた植物は、その内過酷な環境にも耐えることのできる菌類と共生することによって、その後陸の上の生活ができるようになります。
そして陸上に上がった後植物は、細胞壁を一層頑丈にしていき、太陽に向かって上に伸びていき枝葉を伸ばして、日光をたくさん得られるよう進化していくことになります。
10億年前頃、新しく誕生した多細胞生物にニハイチュウという生物がいましたがこの生物は30個の細胞からできていました。
この生物は2つのDNAがそれぞれのコピーを行い、そして分裂し細胞同士がつながって一つの体をつくっていきました。
細胞は相手の良いところを使って協力し合う形で結びついていきました。
その内、子供をつくるためには子供作り専用の細胞が作られるようになりました。
それはDNAを1組だけ持った子供用の細胞で、生殖細胞といいます。
卵子という生殖細胞は豊富な栄養分を持った細胞で、受精した体を成長させる役目の細胞です。
精子という生殖細胞は小さく、鞭毛をもっていて動き回れる細胞です。
精子はたくさん放出され、一つの卵子を求めて動き回り、その内の一つだけが受精に成功します。
それまでの生物は一つの細胞が同じもの二つになって増加していきます。
ところが雄と雌ができると、雄の半分と雌の半分の遺伝子(DNA)を組み合わせて子供をつくることになりますので、必ずどちらの親とも少し違った子供が生まれるようになります。
子供が生まれるたびに少しずつ変わっていくことになるため進化するスピードが速くなったのです。
それまでの生物は同じものになるだけなので作るのが簡単なため、増加するスピードは速かったのですがなかなか進化はできませんでした。
新しい生物は違う遺伝子を組み合わせなくてはならないため、作るのが難しく増殖のスピードは遅いのですが、進化するスピードは飛躍的に早くなりました。
このように生物は進化していきましたが、地球の方も長い間にいろいろの変化を繰り返していきます。
気温が高くなった時期、低くなった時期などを何度も繰り返していきました。
陸地はプレート移動していき、一つの大きな大陸につながり10億年前頃にはロディニア超大陸ができました。
超大陸ができると、超大陸の下にはホットプルームがつくられていき、ホットプルームによって火山活動が始まります。
火山活動が活発になり、二酸化炭素が放出され温室効果により気温は上昇していきました。
その後、ロディニア大陸は分裂して、ローレンシア大陸、東ゴンドワナ大陸、西ゴンドワナ大陸の3大陸になりました。
8億5000万年前頃の地球は今よりゆっくり自転していて、1周するのに435日かかっていました。
6億年前頃には、東西のゴンドワナ大陸がくっついてゴンドワナ超大陸ができました。
超大陸がつくられたあとには氷河期が訪れ、地球のほとんどの部分は氷で覆われてしまい、地球は氷の玉のようになってしまいました。
氷に覆われると今まで増えていった生物もほとんどが死んでしまい、わずかに海底深くで細々と生き延びている生物がいるくらいにまでなってしまいました。
それから数10万年の間、地球は -40度くらいの低い気温が続きました。
地表が冷えて凍りつくと、その下にあるマントルも温度が下がってきます。
温度が下がって縮んでくると、マントルの中に海水が入り込んでくるようになります。
マントルに海水が入ってくると、マントルの岩石成分と海水が混ざりあいマグマが作られます。
マグマが作られると火山活動が起こりだします。
海面が氷に覆われていたので、光合成する生き物が死に絶えてしまいました。
光合成をするために二酸化炭素を使うものがいなくなるので、大気中の二酸化炭素は減らないことになります。
噴火が始まり、地球内部にある二酸化炭素が大気中に放出されます。
大気中の二酸化炭素を減らす作用がなくなってしまったので、火山活動による二酸化炭素は減らないことになります。
大気中の二酸化炭素が増えると、温室効果で地球の気温はまた上がっていきます。
地球はそれから100万年かけて気温が上がり続け、地球を覆っていた氷は溶けて氷河期は終わりました。
コケ類の誕生
氷河期が終わり、地球の気温は60度くらいになりました。
それまで氷に覆われていた地表の氷は溶けて海に流れていき、陸地に浅瀬の広い窪地が出来ていきました。
その中に海水が流れ込むと遠浅の広い海が出来上がります。
浅瀬の海には太陽の光が海底まで届き、生命活動が活発に行われるようになります。
そしてシアノバクテリアが爆発的に増殖していき、酸素がどんどん作られていきました。
緑藻などの藻が生れ、大気中に酸素をどんどん放出していきました。
地球上にふんだんにあるケイ素を使って殻をつくっている珪藻も大量に増え酸素をつくりだしました。
この藻はどの水槽をも汚くする嫌われ者の茶ゴケです。
この茶ゴケはまたの名を植物プランクトンともいい、地球の酸素を大量に作り出す働きや食物連鎖の出発点となる大切な生き物なのです。
植物プランクトンは珪藻の他シアノバクテリアとか緑藻など目に見えないほど小さな植物性生物の総称ですが、珪藻がかなりの部分を占めています。
最近室内の湿度を調整したり悪臭やホルムアルデヒドなどを吸収する体に良い壁材として人気のある珪藻土は、珪藻が死んで珪藻の殻が海底に積もっていったものです。
これら植物プランクトンのお陰で、大気中の酸素濃度は 1%だったものが 20%までに増えていきました。
サンゴの誕生
そして氷河期でほとんどいなくなってしまった生物はまた増えていきました。
この時期増えたのは厚さが 1mm以下の小判形をした平べったいふにゃふにゃした生物でした。
動きは鈍く水中を漂うか海底にへばりついているものがほとんどでした。
その後、形の違う種類もできてきて増えていきましたが、そのほとんどが軟体の生物でサンゴ、クラゲ、環形動物などばかりで種類としては約30種類程度でした。
5億7000万年前から5億年前に掛けてをカンブリア紀と呼んでいますが、この時期に生物の種類が急に増えて1万種類に達っしました。
この時期にいた生物は、サンゴなどの軟体生物や腔腸生物、環形動物と三葉虫などの節足動物です。
これらの生物のうち三葉虫などは、そのうち目を持つようになり勢力をのばしていきました。
それまでの生物は目がないため、自分から餌を探すというよりは自分の周りに餌があれば食べるという生活でした。
目を持った生物は餌を自分で探して食べるということをしだしました。
餌となるものが見つかると攻撃して食べる、目のない生物は簡単に食べられてしまうので生き延びられないということが起きてきたのです。
そのうち攻撃されても簡単に食べられないよう、体を硬い皮膚で守るものが出てきました。
うまく攻撃できるよう、攻撃から素早く逃げられるよう俊敏に動けるものがでてきました。
弱肉強食の時代になり、生物は生き延びるためにいろいろの変化をしだしました。
ある生き物は、どんな武器を持てば勝ち残れるかで進化していきました。
ある生き物は、どのようにして身を守るかで進化していきました。
ある生き物は、どのようにして逃げるかで進化していきました。
カナダスピスという生物は、体の周りを堅い殻で覆った生物で、その後エビやカニ、昆虫へと進化していきました。
アノマロカリスはこの時代最強の肉食動物でした。
体は 60cm以上のものもでてきて、さらに大きいものは 2m近いものまで現れてきます。
体の両側についている平べたいひれのようなものを波のようにくねらせて器用に泳げました。
三葉虫は硬い殻を持ち、鋭いとげを持っていました。
硬い殻があったので襲われずらく、繁殖スピードが早かったのでこの時期一番勢力を伸ばすことができました。
5億5000万年前頃、ピカイヤという魚の祖先に当たる生き物が登場しました。
この生き物は硬い殻もなく、とげもないため素早く逃げる方法を選びました。
背中の前後を通して脊索という棒状のものを体につけました。
この脊索を使って体をくねらせて泳げるようになったのです。
武器を持たない弱い生き物だったので、海底の穴の中に隠れ、浮遊するバクテリアなどを食べて生きていました。
ピカイヤはその後魚になり、カエルや山椒魚などの両生類になり、爬虫類になり、哺乳類になっていった祖先に当たる生物です。
脊索は進化して背骨となり、魚という脊椎動物になっていったのです。
この時代、弱肉強食の世界で生き残るためいろいろな進化が試されて、成功したものは生き残り失敗したものは絶滅していきました。
そしてこの時代一番繁栄していたのは、三葉虫やオウムガイなどの無脊椎動物でした。
温暖な気候は数1000万年続き生物は繁栄しましたが、弱肉強食の頂点にいたのは2000万年もの間アノマロカリスでした。
5億年前頃、ばらばらになっていた大陸がプレート移動で近づき始めました。
そしてゴンドワナ超大陸が作られました。
この時、大陸がぶつかったところでは大地が盛り上がり、盛り上がって山脈が作られていきました。
大きな山脈ができると、山脈が空気の流れを遮り雲が作られるようになります。
やがて雲は大量の雨を降らせ山肌を削って谷をつくり、大河がつくられていきます。
ここへきて地球には海でもなく、陸でもない河というところができあがったのです。
この時代はサンゴが大発生して、盛んに光合成をしていったので地球上に酸素が増えました。
魚の誕生
4億6000万年前頃、ピカイヤから進化した最古の魚アランダスピスが誕生しました。
この魚の体は 10cm程度と小さく、まだヒレはなく素早く泳ぐことはできませんでした。
海の中ではオウムガイが硬い殻を持ち、素早い動きで魚を捕まえ強い顎で噛み砕いていました。
オウムガイを恐れアランダスピスはほとんど泥の中に隠れていて、細々バクテリアを捕まえる生活をしていました。
そのほかにも海にはたくさんの肉食動物や強い競争相手がいました。
アランダスピスにとって海は棲みにくいところでした。
それに対し河には、何の動物も棲んでいませんでした。
でも河は淡水です。
淡水は海にすむ生物にとっては、浸透圧の関係で棲むことができない場所でした。
海に棲む生物が淡水に入ると浸透圧のため、細胞の中に水が入ってきて細胞が破裂してしまうのです。
だから河には何も棲んでいなかったのです。
魚類はその後、硬い殻をつけた形に進化していきました。
この魚は頭には硬い甲羅があり、胴体は原始的なウロコに覆われていました。
甲羅やウロコがあるおかげで、この魚は体から水が浸入するのを防ぐことができました。
でも息をするためのエラから水が入ってくるので、淡水では生きられないのです。
魚はその後進化して、腎臓を持ったプテラスピスという魚が登場しました。
腎臓はエラから入ってきた余分な水を、血液の中から絞り出すことができる臓器です。
とうとう魚は安全な河に進出することができたのです。
アランダスピスという魚が生まれて6000万年後のことでした。
すでに緑色の藻の仲間は、河の生活に適応していました。
岩には苔がはりつくようになり、茎を水面から空中に伸ばすシダ植物も登場してきました。
このようにして魚は、オウムガイや三葉虫などの節足動物から逃れるように、海から河への生活へと変わっていったのです。
オウムガイは現在いるイカの祖先といわれている生き物です。
河川に逃げていって生活するようになった魚は、川の生活に適応するように進化していきました。
まず、浸透圧が違うところでは細胞膜が壊れてしまい生きられないところを、腎臓を備えるようになり解決しました。
川は海と違ってカルシウムなどのミネラルが少ないため、川の生活ではミネラル不足になります。
カルシウムは筋肉細胞を規則正しく動かすために必要なものです。
これに対処するため背骨(脊椎)を持つようになりました。
背骨(脊椎)は筋肉を発達させて運動能力を高める働きをするだけではありません。
脊椎はカルシウムなどミネラルの貯蔵庫なのです。
何億年もの長い年数を掛けて、海で進化を進めてきた生物にとっては海という環境が必要でした。
海水に含まれている微量のミネラルを体に取り入れることによって生きていける生き物になってしまったのです。
ところが川には、海と違ってほとんどミネラルがないので生きてはいけないのです。
その対策として、骨の中にミネラルを貯めておき、少しづつ使っていく方法が作られたのです。
また、川は雨が降らないと海と違い水が少なくなり、泥地になってしまいます。
泥地ではエラを使って酸素を取り入れることができません。
これに対処するために、肺をつくって空気から酸素を取り入れるようにしました。
海には陸地の河から淡水がどんどん流れ込んでくるようになりました。
何億年も淡水が海に流れていくうちに、海の中に海水の組成と違った汽水域ができてきました。
今まで海に棲んでいた生物は汽水域では生きられないため、比重の下がった汽水域でたくさんの種が死んでいきました。
この頃の地球上では、シアノバクテリアや藻類やサンゴなどが盛んに光合成して酸素を作り出していきましたので、酸素の量はとうとう成層圏に達するまでになりました。
すると成層圏にはオゾン層ができてきて、オゾンが太陽からの有害な紫外線を吸収するようになったため地上は紫外線の危険がない状態に変っていきました。
そして生物が陸上でも生活できる環境が作られると、少しずつ地上で生活をする生物が生まれ始めました。
植物の上陸
4億7000万年前頃、植物の藻類が菌類を共生させることで陸地に上がることに成功しました。
菌類は暑さ寒さに強く、乾燥に強く、酸アルカリに強い頑丈なものだったので、陸上という今までとは違う過酷な条件に適応できました。
水の中で生れ、何億年という年月水の中で進化してきた生物にとって、乾燥問題は大変なハードルです。
陸上は海中と比べて6倍くらいの体感重力がかかります。
酸素濃度は海水中の20〜30倍もあります。
これらをクリアーして藻類は陸上上陸を果たしました。
菌類を共生させて最初に陸上生活に成功したのはソニア植物という植物でした。
この植物は後にコケへと進化していきました。
4億4000万年前頃になると、シダ植物は地上に根を張って茎をのばし葉を茂らせる形になっていきました。
でも根の働きはそれほどでもないため、水辺でしか育つことはできません。
動物の上陸
動物の中からは、軟体動物や節足動物から上陸を試みるものが現れてきました。
いざというときは水の中に逃げ込めるといった気持で、恐る恐る進出していきました。
そのあと昆虫が陸上に出て生活できるようになりました。
昆虫は体の側面に気門という穴があって、ここから酸素を取り入れて、気管という管を使って全身に直接酸素を送ります。
気門と気管を使うことで、ずば抜けた環境適応力が得られました。
水中にいるときは、水をこの管に通して酸素を得て、空気中では空気を通して酸素が得られたのです
魚の上陸
この頃の魚は、棘魚類という背中側と腹側に棘をつけた形になっていましたが、内骨格ができていたため魚の祖先と言われています。
それまでの魚の口は丸い口を開けて小さなものを流し込んだり、ヒルのように張り付いて吸いついて食べていました。
この頃になって魚は口でくわえて咬めるようになったのです。
あまり速く泳げなかったそれまでの魚と違い、胸ヒレと腹ヒレができて速く泳げるようにもなりました。
そして、川にもいろいろな生物が生活するようになっていました。
水辺で茂っているシダ植物は、枯れると川の中にも倒れていきます。
何1000万年もシダ植物が川の中に倒れて積み重なっていくと、川の中は倒れたシダのジャングルのようになりました。
そんな川の中を進むには、ヒレで泳ぐより足で蹴って進むようにした方が俊敏に動けるのでした。
総鰭類という、ヒレを使って川底を歩く魚が登場し、ユーステノプテロンという魚は水の中を丈夫なヒレで歩くことができるようになりました。
それから1000万年後には、ヒレが足(四肢)に発達した魚が登場し、陸上でも生活できるようにもなりました。
陸上の生活は水中生活と違って浮力がないため、自分の体重を自分の足で支えなくてはなりません。
そのため、しっかりとした四肢に発達していきました。
陸上では大気の圧力から内臓も守る必要がありましたので、肋骨が発達していきました。
乾燥にも耐えられる皮膚になっていきました。
過酷な淡水という川で生活するようになった魚は、環境に適応するため進化を続けてこの時代に種類が増えていきました。
その中で進化して陸上に出ていけるようになった魚類は、イクチオステガという両生類になったものでした。
両生類は、水の中と陸上と両方で生活できるように進化しました。
でも卵は水の中で産まなくてはならなかったので、水辺から離れて暮らすことはできません。
その後爬虫類に進化した魚は、陸上でも大丈夫な乾燥に強く、殻の硬い卵を産むことができるようになり、水辺から離れて生活することができるようになりました。
4億3500万年前頃、超新星の爆発があり、地球上にガンマ線が降り注ぐ事件が発生しました。
そのため、繁栄を誇っていた三葉虫の半数の種類がこの時絶滅してしまいました。
三葉虫に限らずこの時、生物の内 85%が絶滅したのです。
4億1000万年前頃の水の中の魚は、硬い殻の皮膚をまとった形になっていました。
この頃の魚は、今はほとんど見ることのない甲冑魚と呼ばれる西洋の鎧をまとったような魚です。
あごと鋭い歯を持ち、硬いウロコで守られた魚たちです。
この魚はほとんどがそれほど大きくはなかったのですが、ダンクレオステウスのような 8m以上にもなったものもいました。
この時代はいろいろな種類の魚が登場しました。
軟骨魚という、背骨が軟骨の魚が誕生しました。
この魚はサメとかエイとかの祖先の魚です。
肺で呼吸する肺魚という魚も誕生しました。
この魚は川の水がなくなったとき、粘液でまゆを作り休眠して時を待つことができました。
この魚はシーラカンスが有名です。
条鰭類という、サメと魚の中間のような魚も誕生しました。
この魚の仲間にチョウザメがいます。
現在の普通の魚と同じように、背骨があって、ウロコがあって、浮き袋を持った魚もこの時代に誕生しました。
脊椎動物はこの頃はまだ魚類だけだったので、この頃のことを魚類の時代と呼んでいます。
川で生活していた魚は淡水に適応する体をつくっていくうちに、運動能力が高まりオウムガイを凌駕するようになりました。
オウムガイの脅威がなくなったので、再び海に戻って生活する魚も出てきました。
この魚の子孫が現在の海水魚です。
この頃から 3億年間は、暖かい気候と湿度の高い気候が続いたため、多くの動植物が繁栄していきます。
何もなかった岩だけだった陸地を、藻と菌類が共生した地衣類が、植物の生育に向いた土壌に変えていきました。
保水力を得た土壌には苔が生えるようになり、植物の発散する水蒸気は温暖化と豊かな雨をもたらしました。
温暖で湿潤な気候は、シダ、トクサといった種類の植物を繁栄させていきました。
シダはその後、リンボクという巨大木に進化していきます。
さらに陸上の植物は、水のあるところでしか育つことのできないシダ植物から、木質の幹を持った植物に進化していきます。
この植物はしっかりした根で、水分、養分を得ることができ、育つ範囲はどんどん広がっていきます。
海の中では、オウムガイから進化したアンモナイトが登場してきますが、やがてアンモナイトは海の中で大繁栄していきます。
この頃から陸地は、またプレート移動しだし大陸がくっつき始め、2億9000万年前頃にはパンゲア大陸という超大陸なっていきます。
3億6000万年前頃になると、リンボクは河にそって広く陸上を覆うように茂っていきました。
この木は 30mの高さになる巨木です。
巨木が茂る森の地面には昆虫が棲みだし、やがて昆虫も大きなものになっていきました。
昆虫の中には羽根が進化して、空を飛べるものもあらわれてきました。
ステノディクティアというトンボのような昆虫です。
トンボはその後大きくなっていき、羽を広げると 70cmにもなるものも現れてきました。
プロトファスマはゴキブリのような昆虫でした。
森の中ではムカデ、ゴキブリ、トンボなどが繁栄していきました。
昆虫は 6本足、複眼、薄い殻で体を覆っていて、多くが羽根を持っていて適応力にすぐれた生物です。
でも体を殻で覆うという体の構造のため大型化はできませんでした。
地上では、両生類、爬虫類が数を増やしていきました。
この時代は両生類が繁栄していきます。
陸の部分はプレート移動が繰り返されて、現在まで大陸が何度もくっついたり離れたりを繰り返していきます。
気候も暖かくなったり、寒くなったりを繰り返していて、その都度生物が繁栄したり絶滅したりを繰り返してきています。
3億2000万年前頃になると、種で増える裸子植物が登場します。
種を持って、花粉を風で飛ばして、受粉して増えていく植物ができたのです。
それまでの植物は胞子で増える植物で、胞子が地面に落ちてそこから芽が出て成長していきます。
種は胞子より乾燥に耐え、種皮があるので昆虫に食べられにくく、休眠もできるので環境の変化に強いものでした。
胞子で増える植物は、あまり遠くへは広がれませんでした。
花粉で受粉して増える植物は、遠くにまで種を飛ばして増えていくことができたため広い森ができていきました。
この時代に繁栄した動物の死骸は、現在石油として利用されています。
この時代に繁栄した植物の死骸は、現在石炭として利用されています。
2億9000万年前頃に、プレート移動していた大陸同士がぶつかりパンゲア超大陸としてまとまりました。
この大陸の中には、テチス海という浅瀬の海ができていきます。
浅い海には太陽の光が海底までよく届き、サンゴが大繁栄しました。
気候は現在より 8度くらい高めの、生物が暮らしやすい環境になりました。
そのため、動物も植物も大繁栄をしました。
植物は動けないため動物に食べられる一方ですが、花や実をつけることで鳥や昆虫などと共生することで生き延びていったりしました。
そして細胞壁を強化して幹を堅くし、維束管を発達させて茎を強化して上に伸びていきました。
裸子植物のソテツ、イチョウ、メタセコイアなどができてきますが、大きな木は高さが50m〜100mにもなっていきました。
2億8000万年前頃になると、植物は裸子植物がさらに進化して、松やモミなどの針葉樹も登場してきました。
これらの植物は根もしっかりして、茎もしっかりしているので、水辺ではなく内陸部でも生きられるため盛んに広がっていきました。
地上の動物では、先に地上生活して繁栄していた両生類に変り、能力的に優れている爬虫類が勢力を伸ばすようになってきました。
爬虫類のうちには、体毛が生え子供を産んで乳で育てる種類も登場してきます。
この動物は哺乳類の元になる単弓類という哺乳類型爬虫類ですが、体はあまり大きくなく、強力な武器もないため隠れた生活をしていました。
昼間は爬虫類などの脅威があったため夜行性となり、夜昆虫などを捕まえて生きていました。
2億5000万年前頃に、パンゲア大陸の下のホットプルームが火山活動をしだし大陸は分裂していき、現在までかけて6大陸がつくられていきます。
大陸の下というのは熱がこもる形になります。
そうするとホットプルームができてきて、マグマが上昇していって火山活動が始まります。
火山活動が活発になり、植物が山火事で次々焼け出され、草食動物が飢え死にしていきました。
火山からは二酸化炭素が噴出され、温室効果のため気温は 4〜5度上昇してしまいました。
海底からはメタンハイドレートが噴出し、これによって地球上あちこちで大爆発が起こりました。
大爆発で酸素が使われていき、それまで 30%の酸素濃度だった大気は 10%までに酸素が減ってしまいました。
メタンハイドレートというのは、海底深くに棲んでいるメタン生成菌が何億年もかけて作りだしたメタンガスで、海底の堆積物の中に埋まっているものです。
石油、石炭、天然ガスと同じように燃料として利用できるものですが、このときは火山活動であちこちの海底にひびが入り、そこからガスが大気中に出て爆発を起こしたのです。
2億4000万年前頃から、マントルが不規則な動きをするようになったため、地球の磁場がなくなってしまいました。
そのため、宇宙からの荷電粒子が地上に届くようになり、多くの生物が死んでいくようになりました。
地球の磁場はその後もN極とS極が逆になったり、なくなったりを何度も繰り返していきます。
その後地球の気温は下がっていき、今まで暮らしやすい気候で過ごしてきた生物のうち寒さに弱いものから死んでいきました。
気温はどんどん下がり氷河ができ、海は凍っていきました。
海が凍りつくと海に棲んでいた生物は次々死んでいき、海水中の酸素も減っていきました。
酸素の減った環境と寒さのため、それまで大勢力を誇っていた三葉虫もこの時代に絶滅してしまいました。
大繁栄をしていた生物というのは、繁殖能力が優れた生物です。
でもこういう生物は気候が安定しているときは繁殖能力だけで優位性が保てるので、その他の能力があまり進化しません。
気候が変動した時には一気に絶滅してしまいます。
環境が変わったときには、繁殖能力を高めていた生物ではない生物が、環境の変化に対応して進化するため、次の時代に生き延びていけるのです。
甲冑魚とか棘魚などのいかめしい魚たちも、この時期絶滅してしまいました。
生物は食物連鎖で生きていますので、自分のエサとなる生き物がいなくなると飢え死にしてしまいます。
次にその生物をエサにしていた生き物が死んでしまいます。
続々と死の連鎖が続いてしまいます。
この時には、海の生物の 96%が絶滅してしまいました。
陸上の生物もやはり、寒さに弱いものや低酸素に耐えられないものが死んでいきました。
結局この時期、陸上生物、海水生物等全生物の 90%以上が絶滅してしまいました。
卵ではなく子供を産んで育てる単弓類も、寒さと低酸素のため絶滅をしてしまいます。
その中で体毛を持って寒さをしのぐものや、体温を調節できるもの、横隔膜で腹式呼吸をして低酸素時代を乗り切る生物が出てきました。
この種類がのちの哺乳類に進化していきます。
爬虫類のうち、酸素を取り入れるために気嚢という器官を使って酸素を取り入れるものが登場してきます。
気嚢はとても効率の良い方法であったため、低酸素時代でも生き続けられ、後の恐竜になっていきます。
寒さを乗り切った後にはまた温暖な気候が続きます。
哺乳類の誕生
2億3000万年前頃から、また大規模な大陸移動が始まり、パンゲア大陸が分裂をし始めました。
活発な火山活動が始まり、火山からは二酸化炭素が大量に放出されていきました。
二酸化炭素が増えれば、気候はあたたかくなります。
このことは、光合成植物にとっては理想の環境なので植物が大繁栄していきます。
シダ類、ソテツ類など湿地帯に生息する植物が繁栄していきました。
動物では、大形の爬虫類や毛を持った哺乳類の祖先、草食性の小さな恐竜などがでてきました。
そのなかでも、大型の爬虫類が特に繁栄していきました。
体毛を持ち恒温動物となった哺乳類の先祖ですが、温暖な気候では体温調節は重要な能力ではありませんでした。
哺乳類の先祖は、爬虫類などを恐れ夜行性となり昼間は隠れる生活となりました。
そのために目が発達していき、耳が発達していきました。
耳の発達は脳の発達につながっていきました。
そして進化して哺乳類が誕生してきました。
2億1000万年前頃は、恵まれた気候と餌(シダ類、リンボクの葉)のお陰で爬虫類から進化した恐竜が全盛となりました。
陸に上がった魚類の中には、また海に戻っていくものもありました。
この仲間は、後にクジラやイルカに進化していきます。
海には、魚たちに混じりイルカのような形をした魚竜という恐竜が泳ぎまわりだします。
魚竜のイクチオサウルスはイルカそっくりで、15mもの大きさになり、大きな目を持っていて魚などを食べていました。
この頃の海は、アンモナイトという生物が大繁栄をします。
陸上の植物では、シダ、ソテツといった裸子植物が生い茂りました。
そのうち湿地帯にしか生息できない植物に代わって、乾燥に強いイチョウ類、ベネチス類などが増えていき、高さ100mを超える森も作られていきました。
小さかった恐竜は、高い木の上になっている葉を食べるために急速に巨大化していきました。
森ができると、地表は日陰となり、シダやコケに適した環境となっていってこれらの植物も繁栄しました。
2億1000万年前を過ぎたころから、植物に雄しべ、雌しべをもったものが出てきました。
花を咲かせ実をつけて、動物などに種を遠くへ運んでもらうものも出てきました。
鳥の誕生
2億年前頃、翼竜という空を飛ぶことのできる恐竜が出てきました。
プテラノドンという翼竜は、翼の開長が 8mもありましたし、ケツァルコアトルスに至っては 12m以上にもなりました。
そして恐竜の竜盤目からは、羽毛を持った恐竜が誕生しました。
最初羽根は寒さ対策でしたが、次第に進化して始祖鳥という鳥の祖先となっていきました。
始祖鳥は始め 10cm程度の小さな鳥で、昆虫や爬虫類を食べていました。
そのうち胸の骨を発達させて、肺の前後に気嚢を持つようになりました。
鳥は、後ろの気嚢から絶えず空気を取り入れて、前の気嚢から絶えず空気を吐き出します。
鳥の肺は、気嚢を使って連続的に酸素を取り入れ、連続的に二酸化炭素を吐き出せるという優れたものです。
哺乳類などが行っている横隔膜を使って息をする方法は、息をするのと息を吐くのを交互に行っています。
これに比べると倍の効率があります。
1億7500万年前頃には、恐竜は巨大化し、バロサウルスは全長27m、高さ15mもの大きさでした。
空には大きな翼竜が飛び回っていました。
1億6000万年前頃、パンゲア大陸は再び分裂をし始め、現在のアフリカ大陸やアメリカ大陸の位置に近づいていきました。
火山活動が活発になり、二酸化炭素が放出され、温室効果で気温が上がっていきました。
鳥類はこの時期、種類も数もどんどん増えていきました。
翼竜は巨大化していき、7m〜12mもの大きさになりました。
裸子植物は広大な森を作り、安定した環境をつくりましたが、成長は遅く繁殖には時間がかかります。
巨大恐竜はこの環境に適応したため大繁栄しました。
草食性の恐竜としては、ステゴサウルス、イグアノドン、ディプロドクス、ブラキオサウルスなどがいました。
巨大草食恐竜を襲う肉食恐竜も大きくなって、ティラノサウルス、ヴェロキラプトルなどが登場しました。
1億3000万年前頃に被子植物が生まれました。
被子植物の生殖時間は、3分〜24時間ですが、成長が早く繁殖の早い植物です。
被子植物というのは、花が咲き、種に殻がかぶさっている植物です。
繁殖の早さの違いから、被子植物は次第に裸子植物を駆逐し、裸子植物を北へ追いやってしまいました。
巨大恐竜も裸子植物を追って北へと移動していきました。
北へ追いやられた裸子植物は、寒さに適応するため針葉樹となりました。
針葉樹は葉がかたいため、恐竜の華奢なあごでは食いちぎることができなくなりました。
20mもの恐竜が地球の重力に耐えて立っていれるのには、それ相応の適応があったのです。
体全体が重いと自分の体重でつぶされてしまいます。
骨は重いので中を空洞にして軽くしています。
長い首の先に頭がありますが、頭が重いと持ち上がらないので頭や脳はとても小さくしました。
噛むエネルギーをつくるために、血液を大量に口まで送るのは大変なのでほとんど噛む力はありません。
食べ物を消化するには胃袋まで食べ物を落として、鶏の砂袋のように胃袋に小石を入れておき、小石で葉を砕いていました。
こんな恐竜ですから固い針葉樹だらけのところでは生きていけなくなりました。
大繁栄を誇っていたさしもの恐竜たちもだんだん数が減っていきました。
空を飛びまわっていたヴァロサウルスも絶滅してしまいます。
恐竜の時代が終わりに近づいてきた頃、大地には様々な花が咲き乱れていました。
花は蜜のありかを昆虫に知らせるための紫外線のサインを出すようになりました。
昆虫は紫外線を目で見ることができます。
花が出す紫外線は遠くからでも昆虫は見つけることができ、蜜や花粉のありかが解るのです。
昆虫はサイズを小さくすることによって環境に適応していき、種類を増やしていきました。
昆虫は体の節目に小さな脳を持っているため、外部からの情報に素早く反応することができるのです。
こうして被子植物は、昆虫を味方につけて発展していきました。
ここで余談ですが、昆虫、鳥、魚、人間などは色を見ることができます。
でも、犬、猫、馬、ライオン、象など哺乳動物はほとんどが色を見分けることができないのです。
進化した動物なのに、なぜ色に関して昆虫なんかより劣っているのでしょうか。
それは進化の過程が関係しているのです。
きれいな花が咲いていれば、昆虫はきれいだと分かります。
蝶々や玉虫など、とてもきれいな色の昆虫がいます。
インコやクジャクなど、とてもきれいな鳥がたくさんいます。
私たちの好きな海水魚も、とてもきれいでカラフルです。
とてもカラフルな哺乳動物を見たことがありますか?
昆虫や海水魚に比べたら、地味な色の動物ばかりと思いませんか。
恋人を探すのや自分たちを区別するのに哺乳動物は、色を使っていないのです。
哺乳動物も魚から進化していった動物なのですが、初めて進化した時はとても弱い動物でした。
そのため昼間は穴の奥に隠れていて、夜になると食べ物を探しに出歩いていました。
夜は明るくても月明かりぐらいの明かりしかありません。
この明るさでは、色を識別することができなかったのです。
夜だけの生活が何億年と続いていくうち、色を識別する能力が退化してしまったのです。
哺乳類の内、私たち人間とサルの仲間だけはジャングルの木の上で生活していました。
木の上では敵がほとんどいないため、食べ物である木の実を探すことだけしていればよかったのです。
おいしい木の実か、まだ熟していないのか緑の葉を通して見分ける必要から、色の感覚がよみがえっていったのです。
ある生物の生態がどうしてなんだろうと思えるのは、進化する過程が影響しているものなのです。
巨大恐竜が北へ移った後は、背の高い裸子植物はなくなって、背の低い被子植物が茂っていきました。
恐竜の中には、この被子植物を食べる恐竜が登場してきます。
三本角のサイのような形をしたトリケラトプスもそんな仲間で、全長9m、高さ2mの大きさでした。
また哺乳類は夜行性で昆虫を食べていましたが、被子植物が哺乳動物に食べてもらうよう実をつけるという進化をしてからは、植物も食べるようになりました。
7000万年前頃、分裂して離れ離れになっていた超大陸パンゲアのうち、南半球にある今のアフリカの辺にあったインド亜大陸が、またアジア大陸に近づいてきてぶつかりました。
このときインド亜大陸が乗っていたオーストラリアプレートは、ユーラシアプレートの下に潜り込んでいきました。
二つのプレートの間にあった浅い海の海底は、長い時間をかけて折り曲げられて盛り上がっていきます。
これが 8000mの高さになるヒマラヤ山脈で、ヒマラヤ山脈は2500万年前頃から今日にかけて形作られていきます。
ヒマラヤ山脈は今日でもプレート移動によって押し上げられていて、これからも高くなり続けていきます。
この頃、プレシアダピスという動物が登場してきますが、これが霊長類の祖先だといわれています。
霊長類とは、キツネザル、オナガザル、類人猿、人のことで、人類とサル類を合わせたものをいいます。
プレシアダピスはその後、アダピス類とオモミス類に進化していきますが、アダピス類とはキツネザルのようにサルらしくない猿に、オモミス類はサルらしい猿と人間になっていきます。
6500万年前頃に、メキシコのユカタン半島に直径10kmの巨大隕石が落下しました。
そのとき大津波が起きました。
津波は高さ10kmもの大きなもので、大西洋に面した陸地を洗い流してしまいました。
砕け散った高温の隕石の破片は、世界中で山火事を起こし、衝撃でできた塵は地球全部を覆ってしまいました。
太陽の光は塵で遮断されてしまい、地上に届かなくなってしまいました。
この結果、地球の気温は下がり、光合成ができなくなり植物は枯れていきました。
動物たちは呼吸を阻害され、寒くなり、草食動物は食べ物がなく飢えて死んでいき、肉食動物は獲物がいなくなり餓死していきました。
このとき、生物の 70%の種が絶滅してしまいました。
地球の温度は下がり、変温動物であった恐竜は食べ物がなくなったことと寒さのため絶滅してしまいました。
恐竜のうちでも、羽毛を身につけて恒温動物になった鳥類は生き延びることができました。
哺乳類も寒さに耐えることができて生き延びることができました。
両生類、爬虫類など他の生物も、この環境に適応できたものがわずかに生き延びていきました。
環境適応力があり、植物と共生していた昆虫も生き延びることができました。
爬虫類で生き残ったのは、有鱗目(トカゲや蛇)、カメ、ワニ、ムカシトカゲくらいです。
巨大隕石が落下した場所は石灰岩地帯だったので、衝突のとき石灰岩が分解され二酸化炭素が発生して、温室効果のため気温は 2〜10℃急上昇していきました。
大量に蒸発した海水は、その後雨になって降り続けましたが、大気中のイオウ酸化物や窒素酸化物を含んだ強い酸性雨となりました。
この激変により、海ではアンモナイト、有孔虫、魚竜などが絶滅しました。
人類の誕生
4000万年前頃から気温が下がっていきました。
小惑星の衝突による厳しい環境を乗り切った、哺乳類のプルガトリウスはサルの仲間で、木に登り果実や昆虫などを食べていました。
アフリカの広大な熱帯雨林は食べ物に困らず、木の上では外敵に襲われることもほとんどなく安全に過ごすことができていました。
この時代から哺乳類の時代になり、植物は草花などが増えてきて、現在の植物とほぼ同じものになりました。
1800万年前頃に、プロコンスルというサルの仲間が誕生しましたが、これがチンパンジー、ゴリラ、人間の祖先となる猿です。
2500万年前ぐらいから、ヒマラヤ山脈やアルプス山脈は山脈らしい高さになっていきました。
700万年前〜600万年前頃、ヒマラヤ山脈ができたため、アフリカに湿った空気が送られなくなってしまいました。
そのため、今まで熱帯雨林だったアフリカの東部には、乾燥した風が流れるようになりました。
この頃、アフリカ大陸に地殻変動が起き、大陸の南北を貫いて険しい山脈ができあがりました。
そのおかげでここに棲んでいたチンパンジーや人類の祖先となる猿は、山脈の東と西に分断されてしまい、別々の進化を遂げるようになってしまったのです。
山脈の西側は熱帯雨林のまま、それまでの生活と同じ生活が続きましたが、東側は山脈にはばまれて雲ができずらくなり、乾燥した気候となってしまいました。
雨が降らないため森林は無くなっていき、高い木がほとんどないサバンナに変ってしまいました。
東側に棲まざるを得なくなった猿は、食べ物が豊富で外敵のいない安全な樹上生活から、渋々ながら食べ物が少なく、危険に満ちた草原で暮らさなくてはならなくなりました。
ライオンなどの外敵からのがれるためには四足で歩くより、2本足で立ちあがった方が、サバンナでは遠くまで見わたせて危険を察知することができました。
2本足で歩くと前足は歩くこと以外に使うことができたので、道具を使うことに発展していきました。
4本足でいる動物は、頭を重くするとバランスが保てませんが、2本足なら体の上に重い頭があるのでバランスがとれます。
そのため、2足歩行の猿だけが脳を大きく進化させることが可能になりました。
540万年前頃、アフリカにアウストラピテクス(猿人)が誕生しました。
そして400万年前頃に、アファール猿人という2本足で歩く、身長1m、体重30kgくらいの猿が誕生しました。
250万年前頃には、ホモ・ハビリスという猿人がでてきます。
その後、200万年前頃のロブストス猿人は、手の親指を進化させ石器を作って使えるようになりました。
150万年前頃からは、ホモ・エレクトス(原人)が誕生します。
180万年前頃から氷河期になりました。
氷河期になると、陸地を30%の氷河が覆うことになりました。
水が氷河として固定されると、海水面が最大150m下がります。
このとき、アジア大陸と日本は地続きとなって行き来できるようになります。
生物は氷河期が訪れると、それを乗り切るために進化していきます。
70万年前頃から、地球は10万年周期で気候変動するようになりました。
温かくなったり、氷河期になったりが繰り返されるようになっていきましたが、この頃は温暖期のピークでした。
50万年前頃には、北京原人、ジャワ原人がいました。
23万年前頃には、ネアンデルタール人が住んでいました。
そして20万年前頃になって、アフリカで現在の人間であるホモ・サピエンスが誕生します。
その後、14万年前頃になると氷河期のピークがやってきました。
氷河期が過ぎると、地球は急速に温暖化していきました。
13万年〜12万年前は、温暖期のピークになりましたが、11万年前頃からまたゆっくりと温度は下がり始めました。
10万年前頃のホモ・サピエンスは、寒くなって食料が得られにくくなり、食料を求めてヨーロッパ、アジアへと進出していきました。
4万年前頃には、クロマニヨン人が誕生しますがまだ農業や牧畜は行っていません。
野生の馬や牛、マンモスなどを追って生活していましたが、氷河期となりそれらが少なくなったり絶滅したりしたため、やがて彼らも絶滅してしまいます。
3万年前後には、ネアンデルタール人が絶滅しました。
このように現在の人間に近い猿人・原人達はすべて絶滅してしまい、ホモ・サピエンスだけが生き残り、世界に散っていって現代人になっていきました。
2万年前頃に、何度も訪れていた氷河期の最後に当たる氷河期がきました。
人類の食べ物は木の実やけだものだったため、食べつくすと人類はアフリカからヨーロッパ方面に食べ物を求めて進出しました。
その後アジア方面にも進出するものが出て、後の中国人、インド人、日本人などになっていきます。
氷河期の中、人類は餌となるトナカイなどを追い続け、北極圏まで進出していきました。
氷河のためシベリアとアラスカが地続きとなっていたので、北米に渡った人類もいました。
氷河というのは、海の水が凍ったのではありません。
海の水が蒸発して、雨や雪となって降ってきたものが、山の上で凍ったものです。
氷河がたくさんできると、海の水が山に運ばれることになるのです。
山の上の水が凍ってしまうので、川から海に水が流れていかなくなります。
そのため海の水が減って、大陸と大陸が陸続きになってしまうのです。
北米に渡ってみると、そこには巨大マンモスや古代バイソン、オオナマケモノなどの動物がいました。
これらの動物たちは人間の怖さを知りませんでしたので、人間にとってはいとも簡単に食料となる動物でした。
1万2000年前頃から氷河期が終わり、再びシベリアとアラスカは行き来できなくなります。
1万4000年前頃人類は犬を飼いならして、初めて家畜として飼うようになりました。
1万6000年前頃、縄文時代がありました。
7000年前頃、エジプトで農耕が始まりました。
4700年前頃、エジプト文明が始まりました。
2800年前頃、ギリシャ文明が始まりました。
200年前頃、産業革命が始まりました。
120年前頃、エジソンが白熱灯を発明しました。
100年前頃、飛行機が発明されました。
人類の歩み
人類は始め、森林の中で樹上生活をして木の実を食べて生活していました。
その後草原の生活をするようになり、草や穀類などを食べるようになりました。
道具を使えるようになると、狩猟をしてけものを食べるようになりました。
氷河期を迎えると、食べ物を得るのが難しくなるという経験をしました。
食べ物が得られなくなれば、多くの仲間が飢え死にしていきます。
ここまでの人類は、自然の摂理に従って、食べ物がたくさん得られれば人口は増え、少なくなれば人口は減っていきました。
生物というのは、生物全体で食物連鎖をとおして生態ピラミッドをつくっています。
陸の生物で言うと、植物から始まりライオンに至る段階をつくっています。
海の生物では、
一番最初に食べられる植物プランクトンが数としては一番多く一番下に位置します。
その上に動物プランクトンがいて、数は二番目に多くいます。
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一番上にサメがいて、数が一番少なくなります。
ピラミッドの上位にいる生物が下の生物より数が増えると、食料不足が生じて必ず適正数になるまで飢え死にして数が減っていきます。
生物は食べた物のかなりの部分を呼吸をするエネルギーとして使っています。
そして残りが体をつくることに使われ、動くことに使われますが生態ピラミッドの上の段階にいくほど、たくさんの食べ物を必要とし体が大きくなります。
自然界では、何10億年とこの生態ピラミッドが維持されてきています。
ところが人類は、農業という自然界とは違うやり方をやり始めました。
牧畜という、自然界とは違うやり方をやり始めました。
その方法によって、自然界の法則に従わないで食料を得ることができるようになりました。
食料を求めてさ迷い歩くことなく、一定の場所で食料を得ることが可能になったのです。
このことによって、人類は生態ピラミッドの頂点にいながら、飛躍的に数を増やすことができるようになったのです。
このような現象が起きることを人口爆発といいます。
その後文明が発達することによって、道具を使ったり、住まいを作ったり、燃料としたりするため森林は伐採され、自然は人間の手によって作り変えられていきました。
19世紀には、自然では使われることのなかった石炭を燃料に使うことによって、更に人口を増やすことを可能にしました。
20世紀には、石油、天然ガスなども使うようになりました。
そのたびに人口爆発が起こり、人間だけが地球上に異常なまでに増え続けていきました。
本来自然界では、動物の数や行動範囲、エネルギーの消費量は、体の大きさによって決まっているものです。
哺乳類のエネルギー消費量というのは体重に比例していて、体重が増えるほど消費エネルギーは増えていきます。
人間の本来のエネルギー消費量は、大体羊と同じくらいのものです。
ところが、現在の日本人の一人当たりエネルギー消費量はその 40倍で、像と同じくらいのエネルギーを消費しています。
人間の体重で地球上での生息密度を考えてみると、地球上の陸地全部が人間の住めるところと考えたとしても、人間が住める人口は1億8000万人が限度です。
ところが現在の地球全体の人口は、56億人とその 30倍も住んでいるのです。
これを可能にした人間のやり方というのは、自然を破壊することと、それまで地球が蓄えてきた資源を食いつくす方法です。
このままの状態を続けていくと、2030年〜2050年には農業的にも工業的にも限界がきて、このやり方を継続していくことはできないと思います。
その時に間に合うようにと、月や火星に移住することが研究されていますが、果たして間に合うのでしょうか。
私たち人間が水槽で海水魚を飼育するようになってから、50年も経っていないのではないでしょうか。
その間に人間は、自然とは違うやり方で海水生物を飼育する方法を考え出してきました。
エサを使うことで生態ピラミッドの成立していない水槽の中で、植物プランクトン、動物プランクトンを育てることなく魚を活かせておくことができるようにしました。
ヒーター、クーラーとサーモスタットを使うことで、海水温度を魚の生活に適した温度に維持することができるようにしました。
濾過装置を付けることによって、自然界とは比べ物にならないくらい狭いところで、腐食の連鎖を効率的にさせることに成功しました。
ベルリン方式では、腐食の連鎖の原因物質を取り除いて水質の悪化を少なくすることにも成功しました。
メタルハライドランプなど照明装置を付けることで、太陽光のないところで飼育することもできるようにしました。
カルクワッサー、カルシウムリアクターなどで水質の酸性化を防ぐ方法も考えだされました。
紫外線殺菌灯、オゾナイザーなどで、水槽内の病原菌を死滅させる方法も考えられました。
いろいろな自然とは違う方法をつくりだして、自然では考えられない、水槽のような狭い場所で海水魚を生活させておくことができるようにしました。
人間は生物の長い歴史と比べて、あまりにも短い時間で自然とは違う方法で生物を育てるやり方をつくりだしました。
でも人間の作ったやり方は、あくまでも自然の方法とは違うやり方です。
自然の海を泳ぐ方法は、ヒレを動かして泳ぎます。
人間の海の移動方法は、船のスクリューを回転させて進みます。
自然の空の飛び方は、羽を羽ばたかせて空を飛びます。
人間の空の飛び方は、プロペラを回して空を飛びます。
自然の陸上の移動方法は、足を交互に出して走ります。
人間の陸上の移動方法は、ガソリンエンジンで車輪を回転させて移動します。
自然が長い時間かけて作り上げたことを人間は、自然の時間と比べたらほんの一瞬のうちに作り上げてしまったのです。
その上人間の考えたやり方の方が、効率的には優れているのです。
でも人間の考えたやり方は、自然の方法とは少し違うことも確かです。
自然と同じことをしているつもりでも自然とは違うのです。
このことを生き物の飼育についても考えてみると、何かしらのヒントが浮かぶかもしれません。