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自然界と比べてまったく条件が違う水槽という入れ物の中で魚を飼うということは、いかに自然界と同じような環境を作ってあげられるかということになります。
そのためには、自然界では考える必要のない濾過ということを考えなくてはなりません。
何を言っているんだ、自然界は濾過が行われているから生物が生きていけるのだ。
‥と濾過の重要性を理解している人はおっしゃると思います。
でも違うんです。
自然界では誰も濾過のことなんか考えていないのです。
自然界の濾過
自然界の中ではただ食物連鎖が行われているだけなのです。
食物連鎖という言葉を聞いたことがあると思いますが、生物は生きるために食物を食べます。
これを人間の場合は食事と呼んでいたり、家畜の場合には餌と呼んだり、肉食動物の場合は獲物と呼んだり、植物の場合は肥料と呼んだりしていますが‥‥‥。
植物が育つ→草食動物が植物を食べる→肉食獣が草食動物を食べる→バクテリアが動物の死骸を食べる→
植物がバクテリアが分解した物を肥料として吸収して植物が育つ→これを草食動物が食べる→‥‥‥‥‥
植物たちを生産者といいます。
動物たちを消費者といいます。
頂点にいる消費者を高次消費者といいます。
バクテリアたちを分解者といいます。
この食物連鎖のサイクルを自然は何億年と続けてきたのです。
ただそれだけです。
誰も濾過しようとは考えていないのです。
食物連鎖のことをもう少し細かく見てみましょう。
生物とは食べる行為をするものを言います。
動物は口で食べますが、植物は根で肥料を吸収して食べているのです。
バクテリアになると、どこで食べているのか分かりにくいものもあります。
でも何かを食べて、エネルギーと排出物等を作っているのが生物なのです。
岩や金やダイヤモンドは食物を食べていません。
食物を食べていないから生物ではないのです。
生物は食べることができている間は生きている物と言えますが、食べることができなくなったら死骸となり生物ではないのです。
サンゴは珊瑚虫(ポリプ)が生きているときは生物ですが、珊瑚虫(ポリプ)が死んでしまった白いサンゴは生物ではなくサンゴの死骸です。
この食べるということはどんなことかと言いますと、実は酵素があると言うことなのです。
酵素を持っていなければ生物ではないのです。
人間は口で食物を食べて、胃や腸で栄養分を消化吸収し、血液を使ってその栄養分を体の各部に運び、運んだ先で排出物に化学変化させています。
たとえば物を食べるとき口を動かしますが、動かすことができるのはエネルギーが作られているからです。
栄養分を血液を通して口のところまで運んでいって、そこで化学変化させます。
栄養分を排出物に変えたときに発生するエネルギーを使って口を動かしているのです。
このとき化学変化させているのが酵素です。
酵素とは化学変化させることのできるものすごい能力を持ったもので、生物はこのおかげで生きていけるのです。
酵素はどういう方法で化学変化を行っているかというと、触媒作用という方法を使っています。
触媒作用とは、自分自身は何も変化しないのですが、これに触れたものをある物から別の物に化学変化させてしまう作用のことです。
酵素にはたくさんの種類があって、種類ごとに違った化学変化をします。
現在約3,000種の酵素が発見されていますが、まだまだ発見されていない酵素がたくさんあります。
Aと言う酵素は、αという食物に出会うとそれを βという物に変えるという働きがあります。
化学変化が行われると、そのときエネルギーが生じます。
Bと言う酵素は γに出会うとそれを δ変える。
Cと言う酵素は υに出会うと ζに変える‥‥‥と言った具合に酵素ごとに変化の仕方は決まっているのです。
食物を消化させる酵素を消化酵素と呼んでいます。
酵素は、消化酵素以外にも体の新陳代謝をしたり、体を病気から守ったりする代謝酵素というものもあります。
酵素は食物にも含まれていて直接食べてもいます。
この食べる酵素を食物酵素といいます。
哺乳類のような大きな生物でも、昆虫のような小さな生物でも、生物は酵素の化学変化のお陰で生きているのです。
アメーバ・バクテリアのような更に小さな生物でも、みんな酵素の力で生きているのです。
人間は食物を食べると、タンパク質の部分はプロテアーゼという種類の酵素がアミノ酸に化学変化させます。
脂肪の部分は、リパーゼという種類の酵素が脂肪酸に化学変化させます。
炭水化物の部分は、アミラーゼという種類の酵素がブドウ糖に化学変化させます。
食物の分子というのは大きいので、生物はその大きさのままでは体に吸収することができません。
そのため生物が食物を利用するためには、自分が吸収できる大きさまで酵素の力で小さく変えていかなくてはなりません。
食物はタンパク質、脂肪、炭水化物などが混ざっています。
酵素はその中から自分が化学変化させることのできる成分だけを、いつも決まった成分に変化させるのです。
大きな物を aという酵素が小さく変化させ、その小さくなった物を bという酵素が更に小さくし、cという酵素が更に小さくし‥‥‥と
生物が吸収できる大きさまで化学変化させるというのが消化酵素の働きです。
そのほかに動物や人間の小腸には、消化を助けるバクテリアや腹下しを起こさせるようなバクテリアなどがたくさん住んでいます。
消化を助けるバクテリアを善玉菌、体の調子を悪くするバクテリアを悪玉菌と呼んだりしています。
バクテリアとは目に見えない小さな生物のことで、時により細菌と呼んだり微生物と呼んだりしていますが普通同じものを指しています。
そのバクテリアそれぞれが生き物なのでそれぞれの酵素を持っていて、消化を助けたり下痢をさせたりしているのです。
消化を助けるバクテリアには、乳酸菌とかビフィズス菌だとかがあり、下痢を起こさせるバクテリアには大腸菌・ブドウ球菌などがあります。
これらが腸の中には混在していて、どちらの勢力が強いかで快便になったり便秘したりとか下痢をしたりとかしています。
人間の小腸には、500種類のバクテリアが棲んでいて、その数は100兆匹もいるのです。
この100兆匹もいるバクテリアの重さを量ると1kgにもなってしまいます。
あなたの体重の内 1kgは腸内バクテリアの重さなのです。
人間の場合、自分が持っている酵素はたくさんありますが、小さな生物ほど自分が持っている酵素の数は少なくなります。
人間はたくさん酵素を持っているのにまだ足りなく、腸の中にバクテリアを飼っていてそのバクテリアの酵素の力を借りているのです。
人間は自分の酵素とバクテリア達が持っている酵素を使って、食べ物を吸収できる形に化学変化させているのです。
生きるためにはたくさんの酵素を必要としていますが、爬虫類だろうが昆虫だろうが魚類だろうがバクテリアだろうが似たようなことをして生きているのです。
生物は食物を食べると、食べたものに酵素が酸素をくっつけて化学変化させ、別のものに変えています。
地球上の生物のほとんどが酵素の触媒作用で、食べたものと酸素を化学変化させて生命活動をしています。
酵素のつながりを見ていくと食物連鎖がよく見えてきます。
食物連鎖とは酵素のつながりなのです。
一つの物を種類の違う酵素が順に次々と別の物に変化させていき、また元の物へ戻りまた変化させるの繰り返しのサイクルです。
酵素は人間が持っていたり、バクテリアが持っていたり、植物が持っていたりしますが、食物を変化させる流れで見ていけば一連の酵素の繋がりなのです。
食物連鎖の中で、どこかの酵素が欠けてしまうと連鎖が続かず、その連鎖で生きていた生物は生きていけないということになります。
自然界では、この酵素のつながりを維持している生物達だけが生き残っていけます。
海の生き物についても同じような連鎖ができているのです。
海の連鎖の始めは植物プランクトンで、二酸化炭素と太陽の光エネルギーを使って糖質を作り出します。
そして更に植物プランクトンは、窒素、炭素、酸素等から酵素の力でタンパク質、脂肪などを作ります。
次に植物を分解することのできる酵素を持った動物プランクトンが、この植物プランクトンを食べます。
動物プランクトンは、酵素の力で植物プランクトンを自分の体に作り変えます。
次に動物プランクトンを食べる小魚が、食べたプランクトンを酵素の力で自分の体に変化させます。
その小魚を大型魚が食べて、酵素の力で小魚を大型魚の体に変化させます。
これが海の中で行われている食物連鎖ですが、これは生きている生物の食物連鎖なので生食連鎖といいます。
実際には食べられて死ぬより、大部分が食べられることなく病気や怪我・寿命などで死んでいきます。
食物連鎖は、死んだあとも腐食連鎖という連鎖に続いていきます。
腐食連鎖は、死骸や糞や排泄物等が腐っていく連鎖になります。
魚が死ぬと、魚の死骸を食べるバクテリアが酵素の力でタンパク質をアンモニアに化学変化させます。
アンモニアは、別の微生物の酵素の力で硝酸に変えられます。
硝酸は、別のバクテリアの酵素の力で窒素ガスに化学変化されます。
ただし海の中の硝酸は、ほとんどが植物プランクトンの餌となって、植物プランクトンの体を作る材料として使われます。
植物プランクトンの酵素は、硝酸塩をタンパク質に化学変化させています。
これらの化学変化をするときには酸素を使いますが、酸素を使ったとき二酸化炭素ができます。
この二酸化炭素を使って植物プランクトンは光合成をし、炭水化物(糖質)を作り、酸素を作りだしています。
植物プランクトンとは、藻類やシアノバクテリアなどのことで、これらの働きがあって初めて食物連鎖は成り立ちます。
水槽内で不要とされている珪藻(茶ゴケ)や藍藻(シアノバクテリア)は、自然界では必要不可欠の位置を占めているものなのです。
陸上の砂漠のように、植物が生えていないところでは食物連鎖が成り立たないのと同じように、海の中では植物プランクトンが増えてくれなくては食物連鎖が成り立ちません。
海の中では、このようなサイクルが何億年と続いてきているので生物は生きていけてるのです。
水槽の中の食物連鎖
一方水槽の中はどうでしょう。
普通、植物プランクトンはほとんどいません。
太陽の光はあまりありません。
だから光合成はほとんど行われません。
植物プランクトンがいないので、タンパク質、脂肪、糖質、ビタミン等を作るための酵素がありません。
植物プランクトンがいないので、これを食べる動物プランクトンもほとんどいません。
だから、動物プランクトンを食べる小動物もほとんどいません。
自然界に水槽と同じような環境があったとしたら、食べ物が無いので魚はまったく生きてはいけません。
この環境で魚が棲めるようになるには、何万年何十万年の年月をかけて少しずつ現在とは異なった連鎖をつくりあげていかなくてはなりません。
でも人間は餌を与えることによって、魚が食べることのできるものが作られるまでの連鎖を省略させ、水槽の中でも魚を飼うことができるようにしてしまいました。
魚は餌を食べることができるので、魚が生きていくまでの連鎖に進むことはできます。
でも水槽の中では魚が死んだあとの連鎖も出来ていないのです。
物を腐らせてアンモニアにするバクテリアは私たちの周りにたくさんいるのですが、アンモニアを窒素ガスにするバクテリアは水槽の中にはほとんどいません。
腐食の連鎖ができていないわけですから、魚の食べ残しを素早く取り除き、魚の排出物を素早く取り除き、魚の死骸を素早く取り除ければいい訳です。
これをするには一日中水槽を注視して、食べ残し、糞、死骸を見つけ次第取り除き、何回も新しい水に入れ替えしてあげれば良いのかもしれません。
でも大変な作業になってしまいます。
これをもっと楽に行おうと考え出されたのが濾過という方法です。
餌をあげることと濾過をすることで私達は家で魚を飼うことができるようになったのです。
生物は生きるために物を食べます。
食べた物を体の中で酵素の触媒作用によって、酸素と化学反応させエネルギーを作ります。
できたエネルギーを使って生物は生命維持活動をしているのです。
エネルギーがあるから生きているのです。
エネルギーを作るとき同時に出来てしまうものがあります。
その一つにアンモニアがあります。
食物 + 酸素 ⇒ エネルギー + 二酸化炭素 + 水 + アンモニア
酸素と化学反応させることを酸化といいます。
食物を酸化させるとエネルギーが得られ、食物連鎖が行われて最終的にアンモニアが作られるのです。
エネルギーは生きるために絶対必要なものですが、それを得るために作られてしまうアンモニアは生物にとってとても有害なものです。
アンモニアが体内にあると脳障害を起こしてしまいます。
脳が正常に働かなくなり、体の各器官が異常行動を起こしたり、停止したりしてしまいます。
心臓が停止すれば死です。
肺が停止すれば死です。
死の一歩手前が病気です。
また、動物は鼻やエラから取り込んだ酸素を血液で体の各所に運んでいます。
運ばれた酸素と、食べ物から得た栄養分を各所の細胞が化学反応させて生命維持活動をしています。
酸素を運ぶことが出来るのは、血液中の赤血球の中にヘモグロビンという物質があるからです。
ヘモグロビンは酸素と結びつきやすい性質なので、肺で取り入れた酸素はヘモグロビンにくっついて体の中を回っていけるのです。
ところが、アンモニアは酸素よりヘモグロビンと結びつく力が強いのです。
そのためアンモニアが血液の中にあると、酸素より先にヘモグロビンと結びついてしまい、ヘモグロビンをメトヘモグロビンという物質に変えてしまいます。
すると、ヘモグロビンが無くなってしまうので酸素が運べなくなってしまいます。
体の中の各器官は酸素がなければ活動できませんので、次々と器官が停止して全体として死になります。
人間の場合は、体の各所で出来てしまったアンモニアは、肝臓で無害な尿素という物質に化学変化させています。
この尿素を腎臓で水分に溶かして尿という形で体外に排出しているのです。
魚の場合はアンモニアを尿素に変えることはしないで、直接エラなどから体外に排出しています。
陸上動物の場合、アンモニアを無害な尿素に変換して体外に出しているので、たとえ尿に触れたとしても害がありません。
でも魚の場合は、アンモニアとして体外に出しているので触れると害があります。
自然界の海や川の場合は、体外に出されたアンモニアは、豊富な水によってたちまち薄められ、害のないレベルまでになってしまいます。
また、アンモニアは水に溶けやすい性質があり、水に触れるとイオン化されアンモニウムに変ります。
アンモニアは、アンモニウムの状態のときは無害で、アンモニアとしての害が生じません。
そのため生物は、アンモニアが溶けている水の中でも生きていけます。
そのうち水中に生息しているバクテリアが、溶けているアンモニアを化学変化させて無害な硝酸と水に変えてしまいます。
アンモニア + 酸素 ⇒ 硝酸 + 水
そのため魚は、害のあるアンモニアを体外に出したとしても病気になることはないのです。
ところが自然界と違う水槽の中ではまったく違うのです。
魚の体内から出されたアンモニアは、水を入れ替えたばかりの時は、自然界と同じように薄められて害のない状態(アンモニウムイオン)になります。
でもしばらくすると、アンモニアの濃さが濃くなっていき害を及ぼす濃度になってしまいます。
水に溶けているアンモニアは濃度が濃くなると、アンモニウムの状態になれずにアンモニアのままのものが出てきてしまいます。
こうなると生物に害を与えますので、次々病気になり死んでいくことになります。
魚の大きさが小さければ、魚から出てくるアンモニアの量は少ないのでなかなか濃くなりません。
魚の数が少なければ、魚から出てくるアンモニアの量は少ないのでなかなか濃くなりません。
でもいくら魚が小さくても数が少なくても、必ず水槽の中ではアンモニアは危険な量になってしまいます。
限られたスペースの水槽の中と自然界では決定的に条件が違うのです。
アンモニアは魚が出すほか、魚の糞とか食べ残しの餌とか生き物の死骸などを化学変化させるバクテリアによっても作り出されます。
そのため、糞や食べ残しなどが水中にあればそれだけ早く水中のアンモニアは濃くなってしまいます。
アンモニアに対する抵抗力は魚によって違いますので、アンモニアが濃くなるにつれて弱い順に死んでいくのです。
そのため水槽で魚を飼うときには、自然界では考える必要のない濾過ということを考えなくてはならないのです。
濾過をすることによって自然界と同じように魚を危険な状況に遭わせずにしていけるようにできるのです。
濾過の方法は何通りも考えられていて、どの方法をとってもいいと思います。
でも方法により手間がかかるもの、お金がかかるもの、大げさな規模になるもの、手軽なものなどいろいろなものがあります。
その方法について少し比べてみたいと思います。
いろいろな濾過方式
従来方式の濾過
普通見慣れている濾過方式は、60cm水槽の上に置かれている黒い上部濾過フィルターだと思います。
この濾過装置は、水槽、ライト、濾過装置の3点で設計された大変優れたものだと思います。
上部濾過フィルター(上部濾過装置)は日本人が発明して特許を取ったため、世界中に広まることがなく日本だけでポピュラーとなっている濾過フィルターです。
濾材のメンテナンスが水槽の中に手を入れないででき、水槽の下にかがみこんでする必要もなく立ったまま手軽にできます。
私も長い間この濾過装置を使っていました。
でも海水魚を飼育するようになってから、能力的に力不足を感じてこの濾過装置の単独使用は止めました。
熱帯魚飼育の場合でしたら、上部式濾過器で充分だと思います。
でも淡水と海水の違いから、淡水魚と海水魚の違いから求められる濾過能力に違いがあります。
海水の方が、そして海水魚の方がより高い濾過能力が必要とされているのです。
そのため私の場合は、上部式濾過器の濾過能力を上げるため底面式濾過器を連結して使っていました。
能力的には、この2つが組み合わされればかなりの程度の濾過ができると思います。
ただ上部式濾過器はメンテナンスが簡単ですが、底面式濾過器は水槽の中の砂を掘って濾過器を取り出してメンテナンスをしなくてはならず大変でした。
上部式濾過器はメンテナンスが簡単ですが、度々メンテナンスしなくてはなりません。
底面式濾過器はメンテナンスが面倒ですが、あまりメンテナンスする必要がありません。
でもやるとなると大変です。
そのうちこの組み合わせの濾過方式より、中級者、上級者の多くの人が行っているオーバーフロー式のほうが良いのじゃないかと思ってきました。
そしてオーバーフロー式濾過器を自作して使うようになりました。
熱帯魚ショップの店内を見てみるとほとんどがオーバーフロー式です。
きっとこれが一番いいのだろうと思いました。
オーバーフロー式濾過だと濾過槽を別に設けます。
そのため水槽の大きさと関係なく、いくらでも大きな濾過槽を付けることが可能です。
ドライ式フィルター、ウェット式フィルターなど濾材もいろいろ選べて試すことができます。
私の場合は自作ですから、気に入らないと作り変えたりして、いろいろ試してみました。
最終的に使っていたオーバーフロー式濾過器は、水槽より大きな濾過槽にしてドライ式とウェット式を組み合わせた形になりました。
ドライ式、ウェット式というのは、初心者の人は解らないと思います。
ウェット式というのが普通行っている濾過です。
濾材を水の中に沈めて、水が濾材の中を流れていくうちに濾過されるとしたものです。
濾過槽の中を仕切ってみたり、段を付けてみたり、濾材をいろいろ変えたりと多くの工夫が考えられます。
ドライ式というのは、濾材の入った濾過槽に水を通すのではなく、水槽の水をドライボールという溝のついたプラスチックのボールの上から流して空気中で濾過するというものです。
濾材を濾過槽に浸さないで濾過を行うのでドライ式と呼んでいます。
濾過をするということは好気性バクテリアという空気を必要とする微生物が働くことですから、水中より空中の方がバクテリアが良く働くだろうという考えによるものです。
濾過を行っている微生物は、ニトロソモナスとニトロバクターという2種類のバクテリアです。
この2つのバクテリアは酸素を使って化学変化させるタイプのバクテリアのため、空気がないと働きません。
そのため好気性バクテリアといいます。
反対に空気のあるところでは働かない嫌気性バクテリアというのもあります。
好気性のバクテリアはまず、ニトロソモナスが水中にあるアンモニアを食べて酸素と化学反応させて亜硝酸という物質に変化させて排泄します。
次にニトロバクターというバクテリアが、亜硝酸を食べて酸素と化学反応させて硝酸という物質に変化させて排泄します。
この2つのバクテリアを働かせれば死ぬほど有害なアンモニアを、ほとんど無害な硝酸に変えてしまうことができるのです。
そして、この2つのバクテリアによる化学変化は、アンモニアを硝酸に変化させるので硝化作用と呼んでいます。
酸化作用と呼ぶこともあります。
アンモニア + 酸素 ⇒ 硝酸 + 水 + 水素
オーバーフロー式にしてみて良かったところは、メンテナンスをするとき水槽の部分をいじらずにやれるということでした。
それと何より思ったとおり濾過能力が高かったということです。
メンテナンスは水槽の下にもぐりこんで行わなくてはならなかったので、窮屈な思いはしましたが大きな濾過槽を使うことで水槽の真下からずらす事ができ、やりやすくする工夫もしました。
でもやるとなると大きな濾過槽でしたので、濾材の量が多く大変でした。
今まで濾過という言葉で話を進めてきましたが、ごく初心者は濾過ということがよく解っていないと思います。
きたない水を汚れの無いきれいな水にすることを濾過というと思っていたのではないでしょうか。
汚れている水を濾過して飲めるようにする、というのが普通みんなが思っている濾過だと思います。
でも熱帯魚、海水魚の飼育で使われている濾過という言葉はこのことではないのです。
濾過には物理濾過と生物濾過という2種類があって、汚れたものをきれいにすることを物理濾過と呼び、バクテリアが持っている酵素の化学反応によって、水に溶けている物質を変化させることを生物濾過と呼んでいるのです。
(バクテリアではなくゼオライトなどの物質の化学作用を利用する方法もあって、この方法を化学濾過と呼んでいます。)
そして魚を飼育する時には、汚れをとってきれいにする物理濾過より、有害な物質を無害な物質に変化させる生物濾過の方が重要なのです。
水が透き通っていなくても魚は生きていけますが、害のある物質がある水の中では生きていけません。
魚の飼育で濾過を話す場合は、そのほとんどが生物濾過のことを指しています。
ですから濾過能力が高いという場合は、生物濾過能力が高いと言っているのです。
現在の私は、オーバーフロー式も止め外部濾過方式を使っています。
この方式は濾過器をコンパクトにまとめたもので、各メーカーで似たようなものを販売しています。
エーハイムというドイツメーカーの製品が有名で、クラシックシリーズやプロフェッショナルシリーズ、エコフィルターシリーズとして何種類も用意されています。
そのほかニッソーという会社のパワーキャニスターやプライムパワー、コトブキという会社のパワーボックス、スドーという会社のエデニックシェルト、ADAという会社のスーパージェットフィルター、テトラという会社のEXパワーフィルター、VXパワーフィルター、オートパワーフィルター、ジェックスという会社のメガパワー、日本動物薬品という会社のNewウィズダムなどいろいろあります。
メーカーにより値段の高いの安いの、濾過能力の高いの低いの、ランニングコストの高いの低いのとありますが、総合的に見て私はコトブキのパワーボックスがコストパフォーマンス性に優れていると考えてこれを使っています。
外部濾過フィルターはこの他にサンドフィルター(流動フィルター)というタイプがあります。
このフィルターの仕組みは簡単で縦型の筒の中に砂を入れてあるだけのもので、水槽の水を筒の下から入れ上から排出して水槽に戻すだけです。
下から入った水は筒の中の砂を舞い上げながら外へ出ていきます。
筒の中の砂の表面には硝化バクテリアが薄く張り付いていきます。
砂は水流によって舞い上げられるため、常に新しい酸素を含んだ水にさらされ続けていくことになります。
この環境によって好気性バクテリアである硝化バクテリアは絶えず活発な働きを続けていくことになります。
すなわちとても濾過能力の高いフィルターであるといえます。
このフィルターの良いところは構造が簡単で、壊れるところが何もないということです。
濾材は常に全体が流水にさらされることになるので、絶えず水で表面を洗っている状態になるため目詰まりが起きません。
普通のフィルターでは濾材と濾材が重なりあったり、隣りあったりしてバクテリアの働きが落ちる部分がかなりあるものです。
重なり合った部分などにはデトリタスなどが積もっていき、時間の経過とともに水の流れない部分が増えていきます。
濾材がたくさんあったとしても水が流れる部分は少しの部分に限られていってしまうものです。
この現象をチャネル現象といいます。
チャネル現象が起こると水の流れる部分以外の大部分が濾過がほとんど行われない部分となってしまいます。
そのため一般の濾過フィルターでは定期的なメンテナンスが必要となり、濾材を交換していかなくてはならないのです。
サンドフィルターでは一つ一つの砂がばらばらに動き回っている状態なのでメンテナンスする必要もなく、濾材を新しいものに交換していく必要もありません。
私も長い間このサンドフィルターを使って濾過をしていたことがありますが、一度セットするだけでその後何もしなくて済みましたのでとにかく楽チンでした。
とてもよい濾過フィルターだと思うのですが、ほとんど広まることなく消えていってしまったようで不思議な気持ちです。
最近このサンドフィルターの原理を使って、濾材を単なる砂ではなく専用の濾材にした流動フィルターが販売されるようになっています。
濾材をジェル状にして濾過能力をより高めていますので、お勧めものだと思います。
アクアリストの中には私のように難しいことは考えなくても効果的に生物濾過が働き続けてほしいと考える人もいると思います。
そんなタイプのアクアリストにうってつけの濾過フィルターではないでしょうか。
何しろ最初にセットしたら後はほったらかしで何もメンテナンスしなくても濾過が続いてくれる上に、濾材の交換も必要ないのですから。
ただしこのフィルターでやってくれるのは好気バクテリアの濾過だけです。
濾過をすることによって溜まっていく硝酸塩を取り除くための水替えやコケ取りなどのその他のメンテナンスはやらなくてはなりません。そこは残念。
濾過の方式はこれ以外に、水槽の中に入れて濾過させる水中フィルター方式だとか水槽の脇に引っ掛ける側面式フィルター(外掛け式フィルター)だとかあります。
濾過能力のことを考えると、これらのフィルターは小さな水槽向けとか淡水魚の飼育向けになります。
また水換えを3年間しなくても大丈夫というヤノシステムという特別な濾過方式もあります。
この濾過方式は、最初にパーメイトという30,000円程度の濾過フィルターを買うと、その後数年間水換えしないで済むのでランニングコストが0円だというのです。
メーカーのホームページでは、ぎゅうづめ状態の魚たちの写真と「この水槽は1998年1月より水換えしていません」の説明文が付いた写真が載せられています。
海水魚飼育している誰が見てもうらやましい光景だと思います。
メーカーはそのような飼育が可能だと説明しています。
この方式を使ってうまく飼育している人も多いようで、そのような人たちは自分達をヤノラーと呼び合い互いに経過を報告し合っているようです。
私も水換えが面倒なことと、人工海水の塩代を節約しようと何とかして水換えしないで飼育しようといろいろ試してみました。
でも私の場合、30,000円の投資をする余裕というか勇気というか、そのようなものが無くヤノシステムは行ったことはありません。
ヤノラーの中にはヤノシステムの原理をまねして、自作でこの方式を取り入れている人もいますが、私はこの方式以外で水換えしないで済む方法を試みてきました。
でも私の場合は、長くて一年半程度しか水換えなしを続けることができませんでした。
水換えしないで飼育していくと、あるとき突然水槽の中の魚が全滅しているのです。
その原因は解りました。
水の状態を絶えずチェックするということを、初心者の私がまったくしてないからでした。
上級者の場合は水の温度、比重等のほかに、水の pH、炭酸塩硬度(KH)、亜硝酸濃度、硝酸塩濃度、アンモニア濃度、水の酸化還元電位(ORP)などが適正かどうかを継続してチェックしています。
初級者の私の場合はそれが面倒なので、水がきれいなら良しとし、水が汚れてきたらフィルターの清掃交換をしていただけです。
水の交換をしなくてはならないのは、無害といわれている硝酸塩でも濃度が高くなったり pHが低くなったりすると逆に 硝酸塩→亜硝酸→アンモニア の変化が生じてしまうなど害となる作用をしてしまうからです。
そのため溜まりすぎた硝酸塩を取り除くために、定期的な水換えが必要だったのです。
自然界では、硝酸塩を取り除くということはまったく行われていません。
水槽で飼育しようとしているため必要となってしまった作業なのです。
ヤノシステムなどで長い間水換えしなくて済むというのは、自然界ではマイナーな存在の脱窒細菌を増やしてその働きを利用しているからです。
脱窒細菌は、脱窒細菌が生きていく結果として水槽内の硝酸塩を窒素に変えていきます。
これは人間が生きていく結果として、酸素を二酸化炭素に変えていくのと同じことです。
自然界では植物などが硝酸塩を光合成することでなくしていきますが、水槽の中では植物が少なく光合成がほとんど行われません。
ヤノシステムでは植物の代わりに脱窒菌を育てて、増えていく硝酸塩をなくしていく方法をとっているのです。
実際、自然界でもわずかですがこのバクテリアも活動していて、硝酸塩を減らすことにかかわってもいます。
自然界でバクテリアが関与している部分は
アミノ酸 → アンモニア → 亜硝酸 → 硝酸 → 窒素ガス
(生物の体はアミノ酸が数種類が集まってできたタンパク質で出来ています)
この変化の → の部分のところで、バクテリアの持っている酵素による化学変化が行われて右の物質に変化しているのです。
このことは化学的に言うと、アミノ酸をアンモニアに変化させたと言いますが、別の言い方をするとバクテリアがアミノ酸を食べてアンモニアを糞として出しているとも言えるのです。
普通の濾過方式では自然界で行われているバクテリアによる化学変化の内、硝酸にするところまでしか行っていません。
そのため溜まった硝酸を捨てなくてはならないのです。
アンモニアを硝酸塩に化学変化させる働きのあるバクテリアは、上で説明した2種類の好気性バクテリアで、濾過装置での濾過はこの微生物が行っています。
ヤノシステムはこの先の化学変化も水槽の中で行えるようにしたものです。
そのため硝酸が無くなっていくのでアンモニアに戻る心配はなくなります。
だから水換えしなくて良いというのです。
それが脱窒という化学変化です。
脱窒とは窒素を抜くことです。
反硝化作用とも還元作用とも呼ぶことがあります。
私がそうであるように、初級者は化学に弱い人が多いのでとても難しいのですが
硝酸を化学記号で表すと NO3 です。
これは窒素( N )と酸素( O )の化合物ということです。
NO3 の N と O を切り離せば窒素と酸素になりますが、これをやることができるのがバクテリアが持っている酵素なのです。
普通、生物は食べた物を、呼吸して得た酸素で酸化させてエネルギーを作りだし、炭酸ガスを吐いて生きています。
バクテリアの中には酸素を吸うのではなく、硝酸( NO3 )の酸素を使って食べ物を酸化させてエネルギーを作れるものがいるのです。
そしてこのバクテリアは、酸素がある場所では酸素を使ってエネルギーを作ってしまい、硝酸の酸素を使うことができません。
普通のバクテリアが酸素のないところでは窒息してしまうのに対し、その状態になると硝酸の酸素を使ってエネルギーが作れてしまいます。
酸素が無いところでエネルギーを作ることのできるバクテリアのため、嫌気性バクテリアと呼ばれています。
このバクテリアは糖類(炭水化物)を食べて生きているのですが、糖類(炭水化物)を硝酸の酸素( O )を使って酸化させてエネルギーを作っています。
硝酸( NO3 )から O を取り除いて N に変えているためこの反応を脱窒作用と呼んでいます。
脱窒を行うバクテリアにはパラコッカス、シュードモナス、ミクロコッカス、アルカリゲネス、プセンドモナスなどがいます。
この微生物の持っている酵素は NAR、NIR、NOR、N2OR などの種類があり、これらの酵素を持っている微生物達が次々と働いて最終的に硝酸を窒素ガスに変えていくのです。
窒素ガスは気体ですから大気中に出て行きますので、硝酸のようにアンモニアに戻ってしまうということはありません。
自然界でわずかに活動している脱窒菌を増やして、硝酸塩を窒素ガスにすることができれば、水換えしなくても飼育が続けられるという考えです。
でも自然界ではなんでもなく自然に行われている脱窒という作用ですが、飼育水槽の中で同じことをさせるとなると結構難しいのです。
濾過を行うためには好気性バクテリアを働かせるために、空気(酸素)をたくさん水の中に含ませなくてはなりません。
空気(酸素)がたくさんあるということは、嫌気性バクテリアが脱窒をしてくれないということです。
サンゴ砂を敷いた水槽に水を入れて空気を送り込むと空気(酸素)は水に溶け込みます。
この状態を好気的状態といいます。
という事は、中に棲んでいる嫌気性バクテリアは脱窒をしてくれないということになります。
生物が棲んでいれば水槽の中の水は、それがたとえ小さなバクテリアであろうと酸素を吸って生きていますので、溶けている酸素は減っていきます。
そのため水槽で魚を飼うときは、絶えず空気(酸素)を送り込んでいかなくてはなりません。
サンゴ砂の表面はどうかというと、酸素を含んだ水に接しているので好気的状態です。
でもサンゴ砂の中はどうでしょうか。
深くなるほど水の循環が行われないため酸素が少なくなっていきます。
サンゴ砂は深くなるとだんだん酸素が無い状態になっていきます。
これが嫌気状態です。
この位置に嫌気性バクテリアが棲んでいると、酸素が無いため硝酸の酸素を使って息をしだします。
これが脱窒です。
ただしこのバクテリアは、まったくの無酸素状態のところでは活動しません。
サンゴ砂のもっと深いところでは、酸素がまったく無い状態になってしまいますから脱窒は行われません。
まったく酸素の無いところでは、無酸素のところでしか活動できない鉄細菌、硫酸還元菌、メタン菌というバクテリア達が働いています。
これらの微生物が活動することによって鉄イオン、硫化水素、メタンガスが作られます。
酸素のないところでは鉄細菌が活動していて、水中にある酸化鉄の酸素を使って呼吸をし鉄イオンを吐き出して生きています。
つぎに硫酸還元菌が活動して、水中にある硫酸塩の酸素を使って呼吸をし硫化水素を吐き出して生きています。
吐き出された硫化水素は、鉄細菌が吐き出した鉄イオンと反応して硫化鉄が作られていきます。
水槽ガラス面から敷き砂を見ると砂の表面に近い部分は白い色をしていますが、2cmくらいの深さから黒くなってきます。
この黒いものが硫化鉄です。
黒くなっている部分は硫化水素が発生している場所を示します。
硫化水素は有害物質のため水に溶かさないよう注意が必要です。
水換えなどで砂をほじくると砂の中の黒い部分までひっくり返すことになるので、有害物質が流れ出てしまうということです。
硫化水素は毒ガスなので、長い間水替えをしないでいくとだんだん溜まっていきその内水に溶けだしてしまいます。
有害物質を水に混ぜないためには、溜まっていく有害ガスをプロホースなどを使って定期的に捨てていかなくてはならないということです。
水槽の中の無酸素環境ではこれらのバクテリアが活動しますが、自然界ではもっと深いところの無酸素環境があります。
そこではメタン菌が生息していて、水中の炭酸の酸素を呼吸してメタンを吐き出して生きていきます。
海底の奥には何億年もかけてメタン菌が吐き出したメタンガスが埋まっていて、その量は天然ガスの量以上とも言われています。
このメタンガスはメタンハイドレートと呼ばれているものです。
エネルギー資源が問題視されている昨今ですが、地球にはまだ手の付けられていない天然資源が大量に残っていると言えるのです。しかも日本の周りの海溝にたくさん埋蔵されています。
通常の水槽内では無酸素環境で生息するこれらのバクテリアが生きている必要はないのですが、ヤノシステムなどの無換水飼育をするためには脱窒菌はふやしていかなくてはなりません。
脱窒菌を育てるため通常は、デニボールとかデニマックスやテトラナイトレイトマイナスという餌を入れて増やします。
脱窒菌が餌としているのは糖類、アルコール類ですが、空気の無い場所に棲んでいる菌にこれらの餌を与える作業というのは難しいものです。
そのため、毎日あげなくて済むデニボール等を使うのが普通です。
デニボールは脱窒菌に少しずつ食べられてだんだんなくなっていきます。
デニボールは3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシ吉草酸の共重合体の生分解性プラスチックと呼ばれていているもので、ゆっくりと脱窒菌に食べられていきます。
生分解性プラスチックとは、普通のプラスチックが廃棄処理するためには燃やすしかないのに対し、バクテリアに分解されるので燃やさなくて済むというものです。
普通のプラスチックを燃やした時できる二酸化炭素が、地球上に増えて環境問題を起こしているのを解決するものとして脚光を浴びているプラスチックです。
今のところ価格面で石油から作られる普通のプラスチックに太刀打ちできないため、あまり普及していませんが良く探すと植木鉢とか食器とかで使われてきています。
このプラスチックが脱窒菌の餌になるのです。
(この脱窒菌の餌ですが現在テトラ社は販売をやめてしまい、液体のナイトレイトマイナスを販売しています。)
脱窒菌が繁殖していて嫌気層があれば脱窒は行われるのですが、嫌気層のバランスを保つことはかなり難しく、このバランスがうまく行える装置がヤノシステムだとメーカーでは言っているのです。
興味のある方はヤノシステムのホームページでもっと詳しく確かめてみてください。
と長年書いてきましたが最近このサイトが閉められてしまったようです。
今でもメーカーは販売を続けているのでしょうか、解りません。
そのほか上級者になるとベルリン式とかモナコ式とかDSB式とかの、いわゆるナチュラル方式と呼ばれる濾過方式を使っている人が増えてきます。
ベルリン方式の濾過
最も多くの上級者が行っているナチュラル方式はベルリン式という方法です。
この方式は考え方として私達初級者が使っている濾過装置を使わないというものです。
濾過装置とは生物濾過する装置のことですから、好気性バクテリアをたくさん育てて有害なアンモニアを無害な硝酸塩に変化させてしまう装置です。
濾過をやらなければアンモニアは増えていき、次々と魚や水槽の中の生物は死んでいきます。
でもアンモニアが増えなければ死なないともいえるのです。
増やさない方法の一つが毎日の水換えです。
海に近い人は、毎日海水を汲んできて水換えすることができます。
海沿いの水族館のように、大きな設備で海水を汲み上げて使えるところもこの方法は可能です。
でもほとんどの人にはこの方法は向いていないのではないでしょうか。
そこで考え出されたアンモニアを増やさない方法の一つがベルリン方式です。
この方法は、アンモニアのもとであるタンパク質を水槽の中から濾しとっていく方法です。
生物というのはタンパク質で出来ています。
生物が生きるのに必要な酵素もタンパク質でできています。
タンパク質は空気中や水中の窒素、炭素、水素、酸素等を化学反応させて植物が作ったものです。
食物連鎖を続けていくうちに窒素を原料としてタンパク質が作られ、タンパク質が変化してアンモニアが作られていきます。
魚が死ねば体の構成物質であるタンパク質は、腐敗菌によってアンモニアにされます。
糞を出したり食べ切れなかった餌なども、腐敗菌によってアンモニアにされます。
要するにそもそもタンパク質が無ければ、アンモニアは増えないということになります。
そこでタンパク質が腐敗菌によってアンモニアにされる前に、タンパク質を水槽から出してしまえばいいということで考えられた方法です。
タンパク質を取り出すことのできる器具をプロテインスキマーといいます。
タンパク質が無ければ、アンモニアはできないので好気性バクテリアを育てる必要はありませんから、濾過装置(生物濾過)をつける必要はなくなります。
でも完全にタンパク質、アンモニアを無くすということはできませんから、濾過装置の代わりに必要となるものがあります。
それがライブロックという岩です。
そのほかライブサンドという砂を使ったりして、生物濾過をさせるのです。
もちろん濾過装置を使いながらベルリン方式をやってもいいのですが、ライブロックはその代わりとなっているのです。
ライブロックやライブサンドに好気性バクテリアや嫌気性バクテリア、原生動物、小動物などを繁殖させていきます。
自然界と同じ方法でタンパク質の分解、硝化作用、脱窒作用をさせていくのです。
ライブロックというのは生きた岩ということですが、同じようにライブサンドというのは生きた砂ということです。
何が生きているかというと、岩や砂に生きた生物が棲みついている岩や砂だということです。
岩や砂にはプランクトン、ベントスといった生物が生活していたり、好気性バクテリアや嫌気性バクテリアが生活しています。
これらの小さな生物を生活させて自然界を再現させようとするものです。
岩や砂には魚以外の小さな生き物が棲み付いていて生活をしています。
貝、ヤドカリ、うに、イソギンチャク、かに、ゴカイ、コペポーダ、ヒトデなどいろいろな生物が、それぞれ食物連鎖の一部となって生きています。
これらの生きた生物がついたまま海から持ってきたものが、ライブロック、ライブサンドです。
海の中では濾過装置は何処にもありませんが、岩とか砂の中にいろいろな生物が棲みついて食物連鎖を続けています。
岩や砂の表面には、好気性バクテリアや嫌気性バクテリアがびっしり張り付いていて食物連鎖を続けています。
そのため自然界では濾過装置を使わなくても、アンモニアはバクテリアによって硝酸塩に変えられ、硝酸塩は窒素肥料となって植物の栄養となり、植物はこれを使ってアミノ酸、タンパク質を作りだしています。
これを動物が食べて栄養にし、体を作ったりエネルギーを作ったりした後アンモニアを排出します。
植物に利用されなかった硝酸塩は、バクテリアによって窒素ガスに変えられて空気中へ放出されています。
地球上の空気の 79パーセントは窒素ガスです。
残りの 21パーセントのほとんどが酸素ガスで、わずかに二酸化炭素ガスとか他のガスが混じっています。
(地球温暖化問題はわずかな量の二酸化炭素が増えることによって環境が大きく変わってしまうという問題です。)
私達生物はこの窒素ガスがあったからこそ地球上に生まれてきたわけです。
太古の昔の地球は、窒素ガスから原始的生物が誕生しました。
それが植物的生物に進化し、光合成をする生物が生まれました。
地球は光合成する生物ができてから初めて酸素が生み出されました。
酸素ができてから地球上ではいろいろな酸化が行われて、生物の種類はどんどん増えていったのです。
ベルリン方式ではプロテインスキマーでタンパク質を取り除いていきます。
プロテインスキマーで取り除けなかった水中のアンモニアは、ライブロックやライブサンドに住み着いている小生物や微生物で硝酸や窒素に変化させています。
ただ、ライブロック、ライブサンドのアンモニアを硝酸や窒素に変化させる能力は、濾過装置ほど大きくないので飼育できる魚の数は少なくなります。
また、プロテインスキマーは不必要なタンパク質だけを選んで取り除いてくれるのではなく、海水生物に必要な微量元素なども取り除いてしまいます。
そのためベルリン式を取り入れた場合には、カルシウム、マグネシウムなどの微量元素を定期的に添加していく必要があります。
特にサンゴなどを飼育していくためには、微量元素は絶対必要なものなので必要量を保持することが大切です。
モナコ方式の濾過
モナコ方式というのは、プロテインスキマーを使わないで腐食連鎖を進める方式です。
この方式はベルリン方式で使っているプロテインスキマーが発明される前に考えられたものです。
自然界と同じようなメカニズムで腐食連鎖をさせるものですが、植物の代わりに脱窒菌を異常に繁殖させて硝酸塩を減らしていくものです。
まずカラの水槽にスノコ状のものを置き、スノコの上面に上から砂が落ちないように網戸のネットのようなものを載せておきます。
その上に砂を厚く敷きます。
砂は上段と下段に分けて粒の大きさを変えます。
上段はさらさらの細かいサンゴ砂を厚く敷きます。
この部分で好気性バクテリアと嫌気性バクテリアを育てて硝化作用と脱窒作用を行わせます。
下段には上段より粒の大きいサンゴ砂を敷きます。
この部分でサンゴ砂のカルシウムを徐々に水の中に溶かしていきます。
そして上段と下段の砂の境には砂が混じらないようにスクリーン(網戸のネットのようなもの)で間仕切りをします。
これに水とライブロックを入れたものがモナコ方式の水槽です。
こうすると水槽の一番下のスノコの足の部分に水が溜まっていて、その上に砂がのった状態ができます。
このスノコの足部分の水が溜まったところを止水域(プレナム層)と呼びます。
止水域は水槽全体の水質を安定させる役目を持ったところです。
水槽の水は好気性バクテリアを働かせるために、絶えず空気をたくさん含ませておかなくてはなりません。
水に空気がたくさん含まれていると、底砂の上面は好気性バクテリアが元気に硝化活動をします。
でも少し砂の奥になると新しい水に触れにくくなり、好気性バクテリアの活動は弱わまります。
更に深いところではほとんど新しい水に触れられなくなり、ほとんど好気性バクテリアは働かなくなります。
この部分は酸素がほとんどない状態なので嫌気層と言います。
嫌気層では、好気バクテリアに代わり嫌気バクテリアが活動しだします。
嫌気バクテリアは好気バクテリアが作り出した硝酸( NO3 )の酸素( O )を使って息をします。
すると硝酸は NO3 から O が減っていき NO2 になり NO になり N2O になり N2(窒素ガス) となって水の中に溶けていき、やがて大気中に出て行きます。
自然界で行われている腐食の連鎖を水槽の中でも行わせることができたのです。
この腐食連鎖は微生物だけで行われているのではなく、砂の中で生活しているベントスと呼ばれる生物達も係わっています。
ベントスとは、えび、カニや貝、ゴカイ、ワムシ、鞭毛虫、繊毛虫ほかたくさんの種類の生物達です。
これらの生物は砂の中を食べ物を求めて移動したりして砂にトンネルを作ったり、砂をかき混ぜたりしています。
そうすると水槽の水が砂の奥の古い水と入れ替わったりして嫌気層に好気的なところができて好気性(硝化)バクテリアが働きだしたりします。
硝化バクテリアはアンモニアを硝酸に変えていくバクテリアですが、嫌気バクテリアは硝酸を窒素ガス変えていくバクテリアです。
硝化バクテリアは酸素を使って、アンモニア( NH3 )から水素( H )を取って酸素( O )に置き換えていき NH3 を硝酸( NO3 )に変えていきます。
この時、水と水素イオン( H+ )が作られます。化学式で示すと次のようになります。
NH3 + O2 → NO3 + H2O + H+
水素イオン( H+ )が増えるということは水が酸性になるということです。
嫌気バクテリアは、水素イオン( H+ )と硝酸( NO3 )の O を使って水( H2O )を作っていくバクテリアです。
そのため嫌気バクテリアが働くと水素イオン( H+ )が減っていきますので水は中性に戻っていきます。
うまく嫌気バクテリアが働いてくれると水は中性になり、安定して生物が棲める状態が出来上がります。
砂の中でベントス達が腐食連鎖して働いてくれて、砂の上下を行ったり来たりすると空気が入れ替わり嫌気層が一定しなくなってしまいます。
嫌気層に空気が送られると、嫌気バクテリアが働いてくれず脱窒が行われなくなります。
そのためベントスが下に潜れないように砂の途中にスクリーンを入れて通行止めをしているのです。
更に水槽の一番下部は止水層にして水の循環をさせないようにしておけば、この部分は絶えず空気の無い水のまま維持されます。
こうすることにより砂の上面はいつも好気的になり、砂の下側はいつも嫌気的に維持できることになります。
砂の上側で好気バクテリアが水を酸性にしていったものを、下側で嫌気バクテリアが中性に戻していくのです。
もし砂の中のスクリーンが無かったら、下側にも酸素が送られて嫌気バクテリアが硝酸塩呼吸をしなくなります。
ということは水がどんどん酸性になっていくと言うことです。
好気(硝化)バクテリアは水が酸性になっていくと死んでしまいます。
pHが 6.4 を下回ると急激に好気バクテリアは死んでいきますので、水の中のアンモニアは増えていき生物は生きていけなくなります。
魚や生物が死ぬと窒素性酸化物や燐酸が水の中に増えてきます。
これを水が富栄養化したと言います。
水が富栄養化すると、これを食べて成長しているコケとか藻とかが増えていきます。
水はにごり水槽のガラスは汚くなります。
これを防ぐためにモナコ方式では、底砂の途中のスクリーンと水槽の最下段の止水層が必要なのです。
さらに底砂から下の部分に光が入ると、砂の中にコケが生え光合成をして酸素を作ってしまい、嫌気層が減ってしまうため砂から下の部分は遮光する必要もあります。
モナコ方式では底砂とライブロックでアンモニアを窒素ガスにして空気中に出していきます。
pHは生物が生きるのに適した中性に保持されていくため、水換えをほとんどしなくても生物を飼っていけるということになります。
ベルリン式のように、プロテインスキマーを使っていないのでカルシウムほか微量元素もどんどん無くなっていくという事もありません。
そのためベルリン方式のような定期的なミネラル類の補充はそれほど必要ではありません。
濾過をする能力としてはベルリン式のほうが高く、より多くの生物を飼うことができます。
そして砂の中の好気層と嫌気層を安定して保っていくことも意外と難しい面もあります。
嫌気バクテリアというのは正確には通性嫌気性バクテリアといい、酸素のある状態では酸素を使って呼吸をします。
酸素を使って呼吸するということは、硝酸を窒素に変化させるということをやらないということです。
酸素が少ない状態になると、硝酸塩の酸素部分を使って呼吸して生き続けることができるというバクテリアです。
でもまったく酸素の無い状態では生きていけないのです。
バクテリアの中にはまったく酸素のないところでしか生きていけないというバクテリアもあります。
この種類の微生物を偏性嫌気性バクテリアといいます。
種類としては鉄細菌、硫酸塩還元菌、メタン菌などがいます。
水槽の中では水面に近い部分は酸素が豊富にありますので、好気バクテリアと通性嫌気性バクテリアが酸素を呼吸して生きています。
砂の表面から 2〜3cmより深くなると、だんだん酸素が少なくなり好気バクテリアは生きていけなくなってきます。
通性嫌気性バクテリアの方はこの深さになると酸素呼吸を止め、硝酸塩( NO3 )の 酸素( O )を使って呼吸をするようになるため、結果硝酸塩が窒素に変わってくれるのです。
このときの酸素の溶存濃度は 0.2mg/L以下になります。
更に深いところではもっと酸素が減っていき、ついにはまったく酸素が無くなってしまいます。
そうすると通性嫌気性バクテリアでも呼吸することができなくなり生きていけなくなります。
ここからは通性嫌気性バクテリアに代わって偏性嫌気性バクテリアが呼吸をして生きていきます。
硫酸塩還元菌は硫酸塩( H2SO4 )の酸素を使って呼吸をし、硫化水素( H2S )を吐き出します。
メタン菌は水中の炭酸( CO2 )の酸素を使って呼吸して、メタンガス( CH4 )を吐き出します。
硫化水素ガスは有害なので、このガスが水中に溶けていくと生物は死んでいきます。
そのため通性嫌気性バクテリアである脱窒菌に硝酸塩呼吸してもらうには、空気がありすぎてもだめで無さ過ぎてもだめということになります。
脱窒菌が硝酸塩呼吸できる酸素濃度を保っていかせることが必要となります。
酸素がなくなると偏性嫌気性バクテリアばかりが息をして有害なガスが作られてしまいます。
硫化水素は卵の腐ったような硫黄臭がしますので、この臭いが水槽から出だしたらうまく脱窒が行われていないので危険な状態になったということです。
硫化水素は砂の奥のほうで作られていくので、普通は砂の奥に留まっていて危険な状態にはなりませんが、砂をかきまぜたりすると有害ガスが水に溶けてしまうので大変危険です。
また時間が経つとだんだん有害ガスの量が増えていきますので、定期的に砂の中の有害ガスを取り除く"ガス抜き"という作業をしていかなくてはなりません。
バクテリアは酸素を使って呼吸するものほど働く力が強いので、酸素があるうちは好気性バクテリアばかりが働きます。
酸素が少なくなるにつれて通性嫌気性バクテリアが働くことができるようになり、まったく酸素がなくなって初めて偏性嫌気性バクテリアが活動できるようになります。
偏性嫌気性バクテリアでも順序があり、まず鉄細菌が活動しだし、更に酸素が少なくなって硫酸還元菌が働き出します。
まったく酸素が無くなってメタン菌が活動しだしますが、水槽の中ではメタン菌が働き出すまでの無酸素状態は起こらないのでメタンの発生は普通起きません。
DSB方式の濾過
DSB方式はベルリン方式、モナコ方式よりもっと自然界の状態に似せたやり方です。
Deep Sand Bedの頭文字をとったもので砂を厚く敷いたものです。
ベルリン方式ではプロテインスキマーと言う特別なものを使いました。
モナコ方式では止水域と言う特別な場所を作りました。
DSB方式は底砂をなるべく厚く敷くだけで特別なことは何もありません。
一番ナチュラルな方式です。
ノンフィルターシステムとも言います。
これで濾過できるのなら誰でもこれが一番楽で安くていいと思うのではないでしょうか。
この方式の特徴はと言えば
底砂を少なくとも15cm以上敷かなくてはなりません。
水槽の下半分が砂になってしまうので見た目あまりきれいではありません。
水の量が水槽の半分しかないのでちょっとしたことで水質が変化してしまいます。
pHの変化の影響を受けやすい、アンモニアの影響を受けやすい、酸素不足になりやすい、水の汚れ方が早い、病気が出やすい、少しの生物しか飼えない‥‥‥
このような制約条件が付いてしまいます。
DSB方式で生物を飼育するためには、自然界とより似たような環境づくりが必要となります。
自然界の海の特徴は
・水の中にプランクトンがたくさんいます。
・海底にはたくさんの種類のベントス類が数多くいます。
・水の量に対して生物の量は極わずかです。
・絶えず水は流れて動いています。
・昼には強い太陽の光が差し込みます。
・海水温度はほとんど変化しません。
これらの自然界の条件と同じように水槽内を作れればいいわけです。
代表的なナチュラル方式はベルリン方式、モナコ方式、DSB方式とありますが、自然界と同じような濾過サイクルを狭い水槽の中で実現させようとするものなので、環境が変わらないように維持していくのが難しく上級者向けの方法となりがちです。
初級者の場合は知識がほとんどないため、何をどう管理していかなくてはならないのかが解りません。
それに対し、普通に行われている濾過方式の場合は知識がなくても、徐々に悪化していく水と濾材を定期的に交換していけば良いだけですから比較的簡単です。
でも上級者のようにサンゴの飼育をしたいと言うのならナチュラル方式にした方がやりやすいと思います。
サンゴにも種類があって普通の濾過方式で飼えるものとナチュラル方式でないと難しいものがあります。
濾過装置の一例です。
DIYパーツの調達
アクアリストの中には製品として販売されているものを買って使うのではなく、私のように完成品の原理を真似てDIYで同じようなものを作ってみたいという人もいると思います。
完成品を使った場合は、あまり自由度はありませんが自分で作った場合は試行錯誤によりいろいろ変更したり、改良を加えたりすることができます。
私の場合は完成品を買う経済的余裕がなかったという理由の方が大きかったのですが、それでも作り上げたものが思ったように働かなくて、何が原因でどこを直せば良いのだろうかといろいろ考えることは結構それが楽しみとなっていました。
使えそうな材料を探してホームセンターや100円ショップなどを探しますが、アクリル板、塩ビ管などホームセンターなどで手に入れることができるものもありますが、水道部品以外のパーツなどは探しても手に入れられないことが多いと思います。
そのようなときに利用できる通販ショップにカキショウテン、B.R.S、PRS、ウェイブクリエーションヤマダ、グリーンズ、さくらペット、はざいやというところがあります。
ここは水道などでは使われることのない特殊なバルブとかユニオンとかを手に入れることのできるところです。
DIYの部品を探している人はこのショップをのぞいてみると欲しいものが見つかるかもしれません。
そのほかDIYで装置を作る人の中には、電気関係の装置を自作してみたいと考えている人もいると思います。
そんな人のための通販ショップには秋月電子通商というところがあります。
このショップでは秋葉原の電子部品ショップで買うような様々な電子部品をネットで手に入れることができます。
またボズシ工房ではインバータやコントローラー、メタハラランプなどのパーツを売ってくれます。
そのほかインターネット上にはDIYのやり方を親切に解説してくれているサイトもたくさんありますし、参考になるホームページもたくさんあります。
アクアリウムの楽しみ方は人によりさまざまあって、高い魚を飼っている、飼育の難しい魚を飼っている、人が飼っていない魚を飼育しているというものだけではなく、既製品の装置以上の性能のものを自分で作ってしまう、独自の飼育方法を見つけるなどいろいろな楽しみ方があるのではないでしょうか。
サンゴの飼育を目指すなら
サンゴの飼育をするにはきれいな水にする必要があります。
なぜならサンゴはもともと珊瑚礁で生活している生物だからです。
映画やテレビで珊瑚礁を見たことがあると思いますが、ここは水が透き通っていてとてもきれいな場所です。
サンゴは水がきれいでないと生きていけない生き物なのです。
最近ニュースになっているサンゴの白化現象(サンゴが弱っていきそのうち死んでいく現象)があります。
これは珊瑚礁の水が汚れたり水温が上がったりして環境が変わったため起きてしまう現象です。
生物と言うのはもともと棲んでいた環境以外の環境では、程度の差がありますが住みにくいものなのです。
食べ物が豊富なところが生活しやすい生物と、あまり食べ物が無いところの方が生活しやすい生物があるのです。
日本の周りの海には黒潮と親潮という大きな潮流が流れています。
黒潮というのは水の色が黒っぽく見えるから黒潮なのです。
なぜ海の色が違うのでしょうか。
海で生物が食物連鎖している方法は次のような流れになっています。
太陽の光を浴びて光合成し植物プランクトンが増える。
↓
植物プランクトンを餌にしている動物プランクトンが増える。
↓
動物プランクトンを餌にしている
小魚が増える。
↓
小魚を餌にしている大型魚が
増える。
↓
いろいろな生物が死ぬと死骸
となって海の底沈む。
↓
海に沈んだものは海底で栄養塩
となる。
栄養塩とは死骸とか糞とかが腐食の連鎖によってバクテリアなどに分解されて、有機質だったものが無機質に変化させられたものです。
植物というのは有機質を吸収する能力がありません。
無機質しか養分として吸収することができないのです。
タンパク質とか炭水化物とか脂肪とかの有機質は、栄養塩という無機質に変化されて始めて植物が吸収することができるのです。
植物が食べられる形になった栄養塩は植物プランクトンの餌となり、植物プランクトンは栄養塩を食べて二酸化炭素と光エネルギーで光合成をして育っていきます。
黒潮は暖流と呼ばれていますね。
すなわち温かい水の流れです。
もともとあった海水のところへ暖かい海水が流れ込んでいるのが黒潮です。
水というのは暖かい部分と冷たい部分があると暖かい部分が上になり冷たい部分が下になります。
空気でも同じですよね。
暖かい空気が上にいき足元が冷えます。
黒潮はもともとあった海水の上に暖かい海水が流れ込んでいる状態なのです。
暖かい海流が冷たい海水の上を滑って流れているようなものなのです。
上に示したとおり栄養塩は海底にあります。
黒潮では植物の餌となる栄養塩は海底にあり、海面の上のほうにないので水は透き通っています。
植物プランクトンは餌がないので育たないため、増えていかないので水は透き通っています。
海上から見ると透き通っているため暗い海の底が見えて水が黒く見えるのです。
だから黒潮なのです。
一方親潮は寒流と呼ばれています。
すなわち冷たい水の流れです。
もともとあった海水のところへ冷たい海水が流れ込んでいるのが親潮です。
親潮では、もともとあった海水に冷たい海水が流れ込んできますので表面が冷やされることになります。
水は冷やされると重くなり下に沈む性質があります。
上の水が下に行き下の水が上にいきます。
これを鉛直対流といいます。
鉛直対流が起こると海の底に沈んでいた栄養塩は海面に押し上げられます。
海上面は栄養塩がいっぱいになるので水はにごります。
栄養塩がいっぱいあるので植物プランクトンがどんどん増えて水がにごります。
水がにごると海の底の暗いところが見えなくなり海は明るく色づきます。
植物プランクトンがたくさんあるとその葉緑素で海の色は緑色になります。
餌がいっぱいあるのでいろいろな種類の生物がたくさん生まれます。
餌がたくさんあり魚も集まり子供もたくさん生まれます。
だから親潮というのです。
栄養塩がたくさんあると水はにごり、たくさんの魚が集まってくるのです。
珊瑚礁の場合はどうでしょう。
珊瑚礁は浜辺に近いところに出来ています。
はじめ島の周りにサンゴなどができます。
そのうち地殻変動などで島が沈んだりします。
するとサンゴと島の間に海水が入り込み、ラグーンと呼ばれる湖のようなものができてここが珊瑚礁になります。
島によっては島全体が沈んで珊瑚礁だけになってしまうこともあります。
このようにして外海との境の部分にリーフ(ピンクの部分)と呼ばれる小高い部分ができています。
この部分を境として、外海と珊瑚礁の場所で環境が変わります。
外海が荒れていても、リーフを越えた珊瑚礁のところは穏やかになったりします。
それは日本列島の中央に山脈が走っていて、日本海側と太平洋側で気候が違うようなものです。
日本海側は雪の日が続いていても、太平洋側が乾燥した晴れが多いのと似ています。
すなわち珊瑚礁の中は一年中安定した環境なのです。
生物達の増えたり減ったりもほとんどなく安定しています。
そして珊瑚礁の中は遠浅になっていて、太陽の光が海の底にもよく届きます。
ここに栄養塩があったとすると、植物プランクトンが光合成をしてたくさん増えます。
たくさん植物プランクトンがいるということは、食物連鎖で魚たちもたくさん増えます。
すると糞や死骸などもたくさん増えて海底に積もり、デトリタスとなっていろいろなバクテリア達の餌になります。
デトリタスというのは腐食の連鎖によって砂の上などにたまるぬるぬるしたもやもやしたものです。
魚を飼っているとその内水槽の中の何処を触ってもぬるぬるした感じになってくると思いますが、これがデトリタスです。
これはタンパク質が分解されていく途中の姿で、更にバクテリアによって分解されてアンモニアなどに変わっていくのです。
デトリタスがたくさんあってこれを分解する小動物やバクテリアがたくさんいると、次から次とデトリタスを分解してアンモニアなどにしてしまいます。
珊瑚礁の海には好気性バクテリアがライブロックや海底にびっしり住み着いていますので、アンモニアが発生すると直ぐに硝酸塩に分解されてしまいます。
硝酸塩は栄養塩ですからサンゴが良く茂っているサンゴ礁では、豊富な植物プランクトンやサンゴ虫によってたちまち取り込まれてなくなってしまいます。
栄養塩が無くなってしまいますので水は濁りが無くなり透き通っていきます。
そのため珊瑚礁の海は栄養塩が少なく、水が透き通ってきれいな海なのです。
栄養塩は植物の餌ですから、これが多いと植物が増えます。
植物のほかにコケとか藻なども栄養塩を食べて成長します。
珊瑚礁にコケとか海藻とかが増えるとサンゴを覆い隠してしまい、サンゴは死んでしまいます。
そのため珊瑚礁は植物の食べ物である栄養塩は少なくなる必要があるのです。
水槽でサンゴを飼育する場合も、栄養塩が増えないようにする必要があります。
またコケや藻を増やさないためにも、栄養塩を増やさないようにする必要があります。
さらに魚の飼育と違ってサンゴを飼育するためには、きれいな水が必要なこと以外にも、魚飼育ではあまり神経質に考える必要のない微量元素のバランスも重要になります。
ヨウ素、ストロンチウム、マグネシウム、バリウム、フッ素、モリブデン、チタン、リチウム、鉄、アルミなど、サンゴの成長のために多く使われていき通常の水替えだけでは不足してしまう元素があります。
そのためサンゴ水槽の場合は定期的な微量元素の添加が必要となります。
多くの上級者やベテランの人たちが各元素の添加剤を用意していて、長年の経験と勘による添加剤の添加時期と添加量を調整して最適な水質の維持をしています。
初心者が初めから同じようなことをしていくのは難しいものがありますので、各微量元素を適正に配合してあるコンディショナーが売られていますからまずこれを使っていくことがよいでしょう。
天然海水から塩化ナトリウムだけを除いて濃縮してあるものなど各種ありますからこのようなものを利用するのがよいでしょう。
そのほかサンゴの飼育のためには、適度な水流を作る必要もあります。
魚の飼育ではうまく水流を作らなくてはうまく育てることはできないということはありませんが、サンゴには水流が必要です。
魚は食べ物を求めて泳いで行けますが、サンゴは動くことができません。
一か所に固定した後は、流れてきた餌を食べるしかありません。
水が流れていないと餌が運ばれて来ることがなく、食べ物が得られなくなってしまいます。
また、魚や他の動物たちは餌を食べる口と排泄物を出す肛門は離れた別のところにあります。
ところがサンゴの場合は、肛門と口は同じで両方を兼ねています。
そのため口から排出物を出したとき、流れがないと口の上に排泄物が乗ったままになってしまい餌を食べることができなくなってしまうのです。
水流によって排泄物を流してもらい、水流によって食べ物を運んでもらわなくてはならない生物なのです。
そのために上級者は水槽の中を水がうまく流れるようにパワーヘッドなどを使って調整しています。
実際の海のように潮が満ちたり引いたり、流れが強くなったり弱くなったりを水槽の中で再現できればサンゴは元気に育っていきます。
水槽の中で水の流れない個所ができてしまうと、そこにゴミなどが溜まり汚れていきます。
汚れていくとサンゴ飼育に適さない水質になってしまいます。
よどみを作らない水流を作るのは上級者の腕の見せ所となります。
水流を作るためにはパワーヘッドを使うのが普通です。
でもパワーヘッドで作ることのできる水流は単調な一方向に流れる細い水流になります。
変化を作るためにライブロックに水流を当てて分散させたりの工夫もします。
それでもライブロックの裏側など流れが届かないところがいくつもあります。
そのような場所をなくすためにパワーヘッドを追加して水槽全体によどみがなくなるように考えていきます。
結果数個のパワーヘッドが必要となってしまいますが、数が増えても水流としては単調な一方向の水流です。
パワーヘッドの中にはスイング機構のついたものがあって、自動的に水流の向きが変わってくれるものがあります。
これを使うとかなり広い範囲に水流を行き渡らせるようにすることができます。
パワーヘッドを複数個使っている場合は、パワーヘッドを別々にON/OFFさせることにより水槽内の流れをばらばらに作ったり止めたりすることができます。
これを自動的に行う装置がウェーブコントローラーです。
こうすると水流の強弱が作れて一方向の流れではありますが変化が作れてよりよい状態になります。
ベテランの皆さんはパワーヘッドをいくつも使って、さらにタイマーやウェーブコントローラーを使って自然の海の水流と同じ流れを水槽の中に作ろうと苦労しています。
でもいくら苦労して作り上げていっても本物の海の底に育っている海藻やサンゴの揺れの姿とは違うと感じていると思います。
それと比べてウェーブボックスを使った水槽の様子を見てみれば実際の海底の揺らぎと同じ揺れ方だということが解ると思います。
サンゴ飼育のための水流づくりはウェーブボックスの作りだす水流がゴールなのではないでしょうか。
私たちアクアリストは海水の水温についてはヒーターとクーラーにサーモスタットを組み合わせることで一年を通して安定した海水温度を確保することに成功しています。
上級者の中にはサーモスタットの設定を季節によって変えて、夏の海水温度、冬の海水温度と一年の水温変化のサイクルを忠実に再現している人もいます。
光に関してはメタハラの使用により、水槽内を太陽光と同等の照度で照らすことに成功しています。
そしてウェーブボックスを使うことによって水流についても自然の海と同じ流れを作りだすことができるようになりました。
金銭的な関門をクリアーできる人はサンゴにとって恵まれた水流を作れるウェーブボックスの導入は価値あるものだと思います。
ウェーブボックスはDIYで自作することもできるため、DIYで作ったもので同じような流れを作りだしている人もたくさんいます。
でもよく見てみると既製品のウェーブボックスの方が自然に近い波(揺れ)が作りだせているような気がします。
1.水替えの回数が少なくて済むようなのでベルリン式をやりたいと思いますが
どうでしょうか?
2.新規にベルリン式の水槽を立ち上げて一週間後アンモニアの量を調べたら
0.25ありました。アンモニア濃度を下げるため1/3の水替えをした方が
いいでしょうか?